「ガンバレの日」
リオ五輪、日本選手の頑張りが素晴らしいですね。
今日は8月11日。初めての「山の日」でもありますが、実は「ガンバレの日」でもあるんです。ご存知ですか?
今から80年前、1936年のベルリンオリンピック女子200m平泳ぎ決勝で前畑秀子さんが日本女子として初めて金メダルを獲りました。その際のNHKの河西三省アナウンサーによる「前畑がんばれ」は有名ですよね。そこから生まれた記念日だそうです。
その「頑張る」ですが、今のような意味で使われるようになったのは、河西アナが全国的にはやらせてからだという説があります。たしかに、それ以前の用例は、ちょっと違う意味で使われている。
逆に言うと、ベルリン五輪以降、戦争に向かう世情の中で、「頑張る」は「努力する」「あきらめない」「命懸けで前進する」というような意味で使われるようになっていきます。
「頑張れ日本」というムードが出てくるわけですね。
この展開も分かるような気がします。もともと、「がんばる」は「眼張る」であったと言われており、江戸時代には「目をつける」「見張りをする」「眼を見開く」という意味でよく使われていました。
明治以降になって、「その場にいすわる」「譲らない」というような意味で使われるようになり、漢字も「頑張る」と当てられるようになりました。
さらに「我を張る」との混同が生まれ、「頑固」「わがまま」というような、やや悪い意味で使われることも増えました。
1936年の世界情勢と日本の立場からすると、たしかに「譲らない」「負けない」というような意味で「頑張る」が使われる可能性というのはありますね。
ですから、河西アナが20回以上も叫んだ「頑張れ前原」は、今の私たちが「愛ちゃん頑張れ〜!」というのとは、ちょっとニュアンスが違うような気もするのです。
「頑張れ前原」は、あくまでも「敵に負けるな前原」であって、「結果より何より全力を出し切ってくれ」的な現代的な意味とは違うということですね。
もちろん現代の「頑張れ!」にも「負けるな」という意味が内包されているわけですが、やはり80年前のその言葉とは、本質的なところが違うと感じます。いかがでしょう。
ベルリン五輪の4年後1940年、本来なら東京オリンピックが開催される予定でした。しかし、昭和で言えば15年ですからね、未来の私たちからすると、やはりそれは中止にもなりますよね。
そして、戦後1964年昭和39年(私の生まれた年ですが)、幻の東京オリンピックは24年経って実現しました。その時の「頑張れ」の意味は、今の私たちの「頑張れ」の意味に近くなっていたと思います。
さて、4年後の2020年の東京五輪では、はたして「頑張れ」はどういう意味で使われるのでしょうか。
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