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2016.07.12

『暁の戒厳令 安藤大尉とその死』 芦澤紀之 (芙蓉書房)

Th_t02200325_0580085713543141799 の祖(おや) またその祖を懐かしみ 子の子のその子に 清明(あかき)心を

 この本の冒頭、「序にかえて」として引用されている筧克彦の歌です(筧克彦は東京帝国大学の法学者で、貞明皇后の先生、そして宮下文書の研究会員でした)。
 今日は、本当に本当に不思議な、不思議過ぎるご縁に導かれて、この歌の意味を本当に本当に実感させていただきました。
 あり得ないことが頻繁に起きる私の日常ではありますが、さすがにこの、ある意味「できすぎた」結末、いや何かの始まりには、心から驚きました。やはり、霊的な世界はありますね。
 今日は、安藤輝三が処刑されて80年目の日でした。たまたま静岡の実家で法事があり、そのついでと言ってはなんですが、実家の近くにある安藤輝三のお墓参りをいたしました。
 そこで、私たち夫婦は、かねてからお会いしたかったある方とお会いすることになったのです。1分でも時間がずれていたら、この偶然はありませんでした。だから奇跡なのです。
 その方は、安藤輝三さんの実の息子さん。奥様と一緒にお父さまのお墓に線香を手向けているところでした。
 私たち夫婦は、あまりの感激に涙を流してしまいました。
 実は、昨年の8月3日以来、二・二六事件の当事者たちと「直接的に」関わりができてしまい、様々な不思議すぎることが身の回りに起きました。
 そして、今日のこの邂逅。もう、これは偶然や奇跡ではなく、必然にちがいありません。
 突然登場した私たちをご夫妻は本当に温かく迎えてくださりました。なんとお墓参りののち、お食事をご一緒させていただき、本当に貴重なお話をうかがうことができました。
 格別な人格者だった安藤輝三の、その「清明心」を、まさにそのまま受け継いだような素晴らしい方でした。歴史の先生だったという奥様も大変魅力的な方。
 実は、この1年の中で「2・22」という不思議な数字の暗示を受けていたのですが、その意味が今日ようやく分かりました。
 それは…安藤輝三が決起を決意したのが2月22日、そしてその日が愛する息子たちとの永遠の別れの日だったのです。
 考えすぎかもしれませんが…輝三は80年ぶりに息子と再会したのかもしれません。ただ、私たちはそういう気持ちでお話をしたことはたしかです。
 鈴木貫太郎侍従長を襲撃しながら、とどめを刺さなかったのはなぜか、なにをためらったのか…そんな質問を息子さんから受けてしまいました。おそらく半分本気でお父さまがそこにいると感じられたのでしょう。
 何度か書いてきたように、のちに終戦(すなわち昭和天皇の御聖断)を実現した時の首相となった鈴木貫太郎は、自らを襲った安藤輝三を「命の恩人」だと語っています。それはすなわち、日本の命の恩人、そして天皇の命の恩人でもあったわけです。
 それにしても本当に不思議なご縁でした。実は3ヶ月ほど前、私は「叛乱」の記事の中でこんなことを書いているんですね。

 正直、そうした運命に翻弄されたご本人たちの魂は…それは加害者、被害者という区別を超えてですが…、事件から80年経った今でも、その「未来的な意味」が掴めないまま、この現代に浮遊してしまっているのです。
 この映画では、主役と言っていい安藤輝三を演じている細川俊夫がGJです。まさにそうした浮遊の運命を予感させる安藤の苦悩。その予感は的中してしまったわけですよね。それを淡々と表現しています。
 他の青年将校とは違い、非常に聡明かつ冷静、そして直観力や愛に溢れた安藤輝三は、たしかにこうして苦悩したのでしょう。そして、自害にも失敗してしまう。辛いですね。
 今年の7月12日、そんな安藤らが処刑されてからちょうど80年になります。その日にいったい何が起きるのか。なんとか彼らの「浮遊」を終わりにしてさしあげたいものです。

 まさかその日にこんなことが起ころうとは…。
 本日、息子さん夫婦には申し上げましたが、私たちは仲小路彰の発掘、研究を通じて、昭和史の総決算をしていきたいと思います。もちろん未来的な意味での総決算です。
 ちょうど最近手に入れて読んでいたこの本の最後には、次のような文章があります。実に大切なことです。そして、象徴的なことです。

 …安藤輝三が二・二六事件の首謀者のひとりとして、何をやったかだけではなく、何をやろうとしたのかを評価の材料から欠落させては、この国に真の歴史はあり得ない。
 歴史は昔から同じ問題をその時代の背景をそえて、さまざまな形で提出してきた。これからは果してどのような鮮烈な形で提出するだろうか。

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