千鳥の曲 (吉沢検校)
今朝は3時半に起床。塩山向嶽寺で早朝から座禅三昧。
向嶽寺は「塩ノ山」の足元に鎮座する禅寺。専門道場であります。向嶽寺については今までもたくさん書いてきましたので、そちらを参照いただきましょう。
今日は「塩山」に関することを一つ。
おとといはピラミッドとしての(!)塩山の動画を貼りましたが、今日は古典に登場する「塩山」です。
有名な「古今和歌集」の賀部の中に、「志ほの山 差出の磯に住む千鳥 君が御代をば 八千代とぞなく」という和歌があります。
そう、4月に都留郡に天皇はいたかというマニアックな記事を書きましたが、都留郡に隣接する塩山に関するこの和歌にも、「君が(御)代」と「八千代」が登場します。
甲斐の国はやはり「なまよみ」…いい意味でも悪い意味でも「半分黄泉の国」だったのでしょうね。
で、その和歌を歌詞とした有名な箏曲が、この「千鳥の曲」。
懐かしいなあ。大学で山田流箏曲をやった私も、この曲はずいぶん練習しました。山梨の大学にいながら、初めはこの歌詞が山梨に関するものとは知らずに歌っておりました。
幕末の音楽家、吉沢検校によるこの曲、本来は箏と胡弓と唄のための楽曲ですが、胡弓奏者があまりいないので、最近は箏のみか、箏と尺八で演奏されることが多い。残念です。千鳥の鳴き声は尺八よりも胡弓の音の方が真似しやすい(たぶん)。
とりあえず、箏による演奏、(仲小路彰とも関係の深かった)宮城道雄の名演を聴いてみましょう。
日本人なら一度はどこかで聴いたことがあるのではないでしょうか。正直、かなり斬新な変な曲です。音階も特殊ですし、微妙な転調というか転調子が不思議な感じ。江戸末期の現代音楽なのでしょう。
吉沢検校自身は盲目ですし、おそらくは塩の山も差出の磯も実際に見たことはなかったことでしょう。それでも、こうしてイメージ音楽になり、そして大人気になるほどに、その歌枕(塩の山、差出の磯、千鳥の組み合わせ)は有名だったということです。
その証拠にこちらをご覧ください。こんなたくさんの和歌が詠まれているんですね。私も知りませんでした。
さて、先ほど、箏と胡弓の演奏はあまりないと言いましたが、たしかにYouTubeにもその編成、つまりオリジナル版はありません。
手事部分の胡弓の独奏動画はありましたので、お聴きご覧いただきましょう。若手実力派胡弓奏者として活躍中の木場大輔さんの演奏です。かっこいいですね。スマートな音。
よく言われます。胡弓はやらないのかと。日本音楽をいろいろやってきた上に、西洋の擦弦楽器もいろいろやってきたのだから、そう言われるのも当然ですね。実はまだ全然手を付けてないんですよ。まあ、退職したらやってみようかなと(笑)。
そうしたら、箏(お琴)も久しぶりに練習して、中能島欣一先生みたいに一人多重録音してみようかな…あっ、唄が全然だめだった。いや、唄もやってみるか(笑)。
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