少年の「死なない力」
無事で良かった。まずは純粋に喜びましょう。
いろいろと不思議な点はありますが、とにかく少年に「死なない力」があったことはたしかなようです。
いつも言っているように、教育界で獲得すべきとされる「生きる力」よりも、私はその「死なない力」を重視したいと思っています。
おそらくはこの少年のケースもいろいろと紙一重があったことと思います。その紙一重の撰択を誤らないのが「死なない力」でしょう。
私も4日ほど断食したことがありますが、とりあえず人間は水さえ飲んでいれば1ヶ月くらいはなんとか生きられるようです。
少年はとにかく冷静であったのでしょう。非日常的なピンチに見舞われた時、パニックに陥ったりして冷静さを失うと「死なない力」は衰えてしまいます。
そういう意味では、いろいろと非難された父親の子育ては間違っていなかったのかもしれません。
ここは難しいところです。最近は家庭でも学校でも、なるべく子どもにリスクを与えないようにしています。それが実は「死なない力」を減退させているとも言えるのです。
ほんの少しでも、想定外のことに出会わせて、それを乗り越えさせる体験はとても重要です。私たち人間は、想定外のことに出会ったとしても、過去の微小な体験を拡大したり、敷衍したりして、なんとか危機を乗り切れるものです。
この少年はおそらくそうした微小な危機体験をしてきたのでしょう。もちろん、テレビで見たり、人から聞いたりといった間接体験も含めてです。
そういう意味では、「置き去り」が虐待だと言い切ってしまうのもどうかと思うのです。おそらく多くの大人が、子ども時代に近い体験をしているのではないでしょうか。
「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」などと言われてきたように、子どもを甘やかさず、ある程度の負荷をかけることは、ある種の智恵として受け継がれてきたものではないかと思います。
いずれにせよ、本当に良かった。少年はきっと大物になりますよ。
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