バッハのヴィオラ協奏曲(?)
来週の土曜日、横浜でこちらのコンサートに出演させていただきます。
このコンサートでも、チェンバロ協奏曲やカンタータのシンフォニアから復元された協奏曲が演奏されます。その編曲のオリジナルなので、いろいろな意味で楽しめるものと思われます。ぜひお越しください。
私も趣味でそうした復元を試みたことがあります。作曲するほどの才能はないにしても、そうした編曲というか再創造によって世界で唯一の音楽が生まれるというのは、素人にとっても実に楽しくエキサイティングなものです。
そうした私の準創作活動の一つに、「バッハのヴィオラ協奏曲」があります。そう、ヴィオラ奏者にとっての、ちょっとした寂しさというのは、ヴァイオリンやチェロに比べると、主役になる作品があまりに少ないことですね。
そんなわけで、多くのヴィオラ奏者がいろいろな編曲(復元)に挑戦してきました。逆に言うと、ヴィオラ奏者ならではの楽しみでもあるわけですよね。なにしろヴァイオリン弾きやチェロ弾きは既存の曲を弾くのに手一杯ですから(笑)。
で、「バッハのヴィオラ協奏曲」ですが、基本的にチェンバロ協奏曲第2番ホ長調(BWV1053)を元にしています。この曲はよくオーボエ・ダモーレ協奏曲として復元、演奏されていますよね。
そう、オーボエ・ダモーレとヴィオラの音域は近いので、私もかなり前から自分のためにソロパートを編曲して弾いてきました。
最近になって、いくつかプロによる編曲、演奏の録音や楽譜も出てきました。今日はそのうちの一つをお聴きいただきましょう。
私はニ長調で編曲しましたが、こちらは変ホ長調ですね。私はフラット系が苦手なので、自分のためにニ長調にしました(笑)。
古楽器による演奏もあるんですが、YouTubeにはこれしかありませんでした。
ついでと言ってはなんですが、「バッハのヴィオラ協奏曲」と言えば、こちらの方が有名かもしれません。バッハとは言っても息子のヨハン・クリスチャンですが…いやいや、実はこれは偽作、贋作でして、ある意味贋作者として有名なアンリ・カサドシュの作品です。
弟のマリウスとアンリ、このカサドシュ兄弟、正直言って、素晴らしい作曲家ですよ。この曲なんか本当に名曲です。
この時代って、こういう偽作、贋作が普通に行なわれていましたよね。江戸しぐさみたいな(笑)。今よりそのへんは緩かった。まあ、いいものならいいという時代だったのでしょう。また、「作者」意識も今より低かった。それはつまり、作品の脱作者性というか、独立性の強さを表しているとも言えます。逆に言えば匿名性が高かった。
今はなんだか、作品は作者の所有物というか、著作権のような近代法的なコトに縛られて窮屈なような気もしますね。
そう考えると、「飛鳥の夢」なんかにおける仲小路彰のスタンスもまた違った歴史的意味合いをもって見ることができるような気がします。
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