「六段」三態
私はかつて山田流箏曲をやっており、そんな関係もあって娘に「琴」という名前をつけました。
しかし、だからといって「琴」を弾くことを望んだことは一度もなかったのですが、どういうわけか現在は習いに行っております。
名は体を表すというのか、思ったより上達が早く、いよいよ「六段」の楽譜をもらってきました。言うまでもなく八橋検校の名作です。
大学当時、私の担当は「替手」でした。娘が本手を弾けるようになったら、私も35年ぶりに替手をやって合奏してみようかなどと考えています。
その六段の模範演奏と言えば、中能島欣一先生の多元録音が最高です。
中能島欣一先生のソロ演奏では、芸能花舞台が衝撃的でした。
長らくその映像を観ることができなかったのですが、最近YouTubeに上がっているのを見つけので、まずはそれを紹介します。冒頭が欠けているのが残念です。
う〜ん、六段も完璧ですが、やっぱり「三つの断章」がすごすぎる…。すごい人でした。
そうそう、今日のGoogleはラヴィ・シャンカルでしたね。ラヴィ・シャンカルもなん六段を演奏しているんですよ!ほとんど即興ですがね。なかなかいい。
もう一つ、私は西洋と東洋の古楽を両方やってきまして、その融合を試みてきた者でもあるわけですが、5年ほど前、私も考えつかなかった「事実」が判明しました。たぶん事実でしょう。
なんと、この八橋検校の「六段」がグレゴリオ聖歌の「クレド」をもとに作られたというのです。それを発表したのは、かの古楽界の重鎮皆川達夫さん。
たしかに、日本音楽らしくない整然とした変奏曲である六段が、スペインの変奏曲ディファレンシアスの影響下にあることは昔から言われていました。
しかし、クレドと小節数が同じで重ねて演奏してもいいとは。これはある意味では、先日法隆寺で聞いたお会式の楽に近い発想ですね。つまりありえると。
その六段の初段を胡弓で、クレドをヴィオラ・ダ・ガンバで同時に演奏したのが次の動画です。
ちなみに六段の方は陰旋律ではなく陽旋律にしてあります。それもありだと思います。なぜなら、当時の筑紫は陽旋律が一般的で、のちに京都や江戸に六段が伝わって、いわゆる都節の影響を受けて陰旋律に変化したと考えられるからです。
面白いですね。私も中能島欣一先生のように多元録音でやってみようかな(笑)。
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