春画展(細見美術館)
東京の永青文庫での「春画展」。あまりに混んでいて、何度か諦めて帰ってきてしまったのですが、なんとラッキーなことに、京都の細見美術館で拝観することができました。まさに「拝観」ですな。
このたびは、修学旅行の自由散策時間を利用して、この「春画展」と、近くの京都市美術館で同時開催している「モネ展」「ルノワール展」をはしご。実に面白い体験でありました。
関西在住の方、とにかく「春画展」はご覧になった方がいいですよ。できれば、私のようにはしごされると良い。
いろいろな流れ、本質がよくわかると思います。日本的な職人文化と西洋的な芸術の違いですね。
正直言って、その想像力&創造力のスケールの違いというか、クオリティーの違いというか、いや、ジャンルの違いかなあ、単純に比較できないことが確認できました。
もちろん、春画の勝ちです。生命力でしょうか、いろいろな意味でね。
先に書いておきますが、ちょっとした違和感があって笑ってしまったのは、春画もまた、印象派の巨匠たちのごとく、「美術館」に「展示」されて、大真面目に解説などされ、列をなした人々によって鑑賞、観察されているこということでした。
私は列には加わらず、すきまからのぞき見しましたが(笑)。
そういう意味では、生命力というのは少しそがれていたかもしれません。まあ、それでも、それこそ「笑い絵」というくらいですからね、なんだか作品にこっちが笑われているというか、非常に挑戦的にも見えましたよ。
特に若い女性のお客様が多かったので、なんだかこっち(男)としては、逆に気恥ずかしいというか…そうそう、春画の男性のシンボルの描き方って、あれは女性目線…いや女性の妄想目線だと思いますよ。男性としては、あそこまで猛々しく描かれると、なんだかショボンとしちゃう(笑)。
一方で、挑戦されてるなと思ったのは、やはり、その局部の強調、デフォルメされた表現と対照的に、その他の部分、たとえば顔の表情や着物の表現などに、非常に繊細なこだわりが感じられ、じっくり見れば見るほど、私たちの関心が局部ではなくて、ある意味その背景の方に行ってしまう。
全体の構図や、顔や局部の見せ方という意味では、世界に誇る(?)現代日本文化の一つであるAVと共通しているものがあって、それはそれで興味深かったのですが、そうした「背景」へのこだわりは、昔の人の方が旺盛だったなと感じました。
現代における、そういう「挑戦的」な作品としては、実相寺昭雄の「アリエッタ」くらいしか、私は思いつきません。実相寺は現代の春画を描きたかったのでしょうね。
それにしても、すごい人気でした。平日の早朝だったにも関わらず、すでに入場制限ありでした。館内もギュウギュウ。
北斎や哥麿の超絶的な名作も見ることができますが、やはり匿名性のある、まさに日本的な職人文化を堪能できるのも魅力です。
自分へのお土産に、一番露骨ではないけれども、とってもセクシーな絵の手ぬぐいを買ってきました。それが右の写真です。
モネもルノワールもたしかに良かったけれども、さすがにインパクトが小さくなってしまった。お二人には申し訳なかったかも。まあ、ご本人たちもきっとこればかりは納得だと思いますけどね。
マルローの言ったことは間違っていませんね。印象派が浮世絵を発見したのではない。浮世絵が印象派を生んだのだ。
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