『蚕 絹糸を吐く虫と日本人』 畑中章宏 (晶文社)
今日は富士吉田の織物業者さんと飲み会。深い話で盛り上がりました。やっぱり織物、特に絹織物は不思議な魅力がある。実に宗教的な世界なんですね。
古代と近代が微妙に交錯している。まさに両者が織りなされている。コトとモノの和合。縦糸と横糸のハーモニー。虫と人、機械と人の協働。
この本でもそういった側面が多く紹介されています。気鋭の民俗学者による「産業のフォークロア」。気鋭の民俗学者と書きましたが、実は著者が民俗学者を名乗るのはこの本が初めてだとか。あまりに安定した文章に、すっかり「ベテラン」だと思っていました。
過去の作品とはまた違った視点と作風なのでしょうね。著者はなぜこの分野に興味を持ったのでしょうか。
近代に生まれたある種の「宗教」。利益をもたらすお蚕様。近過去の神話を読むような感覚でしたね。ああ、こうやって宗教は生まれ、そして衰退していくのだなと。そして、今私はその復活を図っている(?)。
今日の飲み会でも、富士山でのシルクサミット開催に向けて、いくつかのアイデアが話し合われました。そう、まさに富士山を中心にして、各地の産地の切れかかった糸(道)をつなぎ、紡いでいこうとしている。
そういう意味で、この本との出会いは実にグッド・タイミングでありました。私の偏った、そしてあまりに身勝手な養蚕、絹織物観を、優しく易しく修正してくれました。ありがたいことです。
一方、産地としての富士北麓地方については、それほど多くの情報はなく、地元民としてはちょっと残念な気もしました。まあ、産地としての知名度はこんなものなのでしょうかね。
もちろん、そのおかげで、私の研究領域が侵されずにすんだ(笑…研究なんてものじゃありませんけど)。
それらをあえて書くなら…今までこのブログに時々書き留めてきた、宮下文書、徐福伝説、秦氏と富士山(能、羽衣、秦河勝など)、大本、天理、高松宮妃喜久子さまとシルクギャラリー、岡谷のシルク博物館、諏訪神社と養蚕・絹織物、北麓における赫夜姫と金色姫の習合、御正体山の養蚕信仰と富士講などなど。
もちろん、これらの一部に触れた記述もありましたし、新たな発見もたくさんありました。そうそう、綾部行幸の際に、貞明皇后と出口王仁三郎が会っていたとは…知りませんでした。すごい因縁の二人ですよね。それが織物を通じて綾部で出会ったと。
この本を読んで、また今日の飲み会を通じまして、ますます神話復活の重要性と可能性を痛感しました。今度はまた違った意味で世界に打って出るのです。
半世紀前の、喜久子妃の「日本の絹を世界の女性に」をいよいよ実現する時が来ていると直観します。富士山発でやりますよ。
それにしても、それまで全く養蚕や絹織物に興味も縁もなかった私が、ここ数年でなぜこれほどそれらに引かれることになったのでしょうね。全く不思議としかいいようがありません。もうそれ自体、私には神がかっている話なのです。
はたして、私は現代の神話の登場人物になれるのでしょうか(笑)。
ああ、そうだ、山梨県立博物館で、ちょうど今「天の虫のおきみやげ―山梨の養蚕信仰―という企画展をやっています。行ってみます。
Amazon 蚕 絹糸を吐く虫と日本人
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