『総員玉砕せよ!』 水木しげる (講談社文庫)
水木しげるさんが亡くなったとのこと。妖怪漫画家としてだけでなく、戦争の語り部としても後世に残すべき仕事をなさった方です。
私の印象に残っているのは、この「総員玉砕せよ!」です。少年時代に読んで、なんとも情けない気持ちになったのを覚えています。
というのは、小学生当時、私は当時の少年のご多分に漏れず、けっこう戦争マニアでして、いろいろな勇ましい戦記なんかも借りてきてはよく読んでいたのです。
そうした中で、水木しげるさんの「敗走記」やこの「総員玉砕せよ!」はちょっと違う雰囲気があった。マンガということもあったけれども、なんか自分の抱いていた戦争や兵士のイメージと違ったんでしょうね。
今となっては、これも戦争の一面の真実、それも重要な一面であることはよく理解できますが。
21世紀になってからNHKがテレビドラマ化しました(こちらで観られます)。
そうそう、半年くらい前、水木さんが出征前に書いた手記が見つかったというニュースがありましたね。これも読んでみたいところです。
水木しげるさん、戦争で左手を失いました。もしかすると、その時点で水木さん自身も妖怪の仲間入りをしたという自覚があったのかもしれません。人間を妖怪に変えてしまうのが戦争なのでしょうか。
水木しげると言えば、ずいぶん前に紹介した、「神秘家列伝」で、出口王仁三郎を描いています。なかなかいい作品です。王仁三郎の入門本として、もっと知られていいものかもしれません。
Amazon 総員玉砕せよ!
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