ストックホルム合意の欠陥(中山恭子)
厳しい交渉が続いているとは思っていましたが、それでも昨年の5月には、これは良い進展があるなと予感してしまいました。つまり、ストックホルム日朝合意は、北朝鮮側の譲歩を引き出したものだと思ったのです(ことの本質からすると「譲歩」もクソもないわけですが)。
何度も申し上げているように、横田めぐみさんと私は、幼少期に同じ寮で育ち、おそらくは一緒に遊んだであろう仲です。ご両親とも数年前にお会いし、お話をしました。第二次安倍内閣ができる寸前でしたが、安倍さんへのご両親の期待は絶大なるものがありました。もちろん、私も同じ期待を持っていましたし、今でも持っていると言ってもいいかもしれません。
ところが、この1年以上の間、期待したような進展はなく、逆に日朝の距離は大きくなってしまったような気がします。
そのストックホルム合意の欠陥について、先月の救う会連続集会で中山恭子元拉致担当大臣が語ってくれています。これを聴きますと、本当に日本の外交力の弱さにがっかりしてしまいます。
私は、ご縁があって、北朝鮮問題にも関わった外務省のある方を存じ上げております。その方は充分すぎるほどに熱い正義感を持っておられる方ですが、逆にそのような方だからこそ、無力感というか絶望感を感じることが多かったようです。
ですから単純に外務省を批判してもしかたないところもあるのですが、このストックホルム合意については、さすがに失敗だったと感じます。まんまと罠にはまってしまった。
この動画で中山さんがおっしゃるように、もう「協議」しているヒマはないのです。私たちにとっては、帰国に向けての協議ということになりますが、北朝鮮にとっては、帰国したくないと言わせるチャンスを得ることになってしまいます。
当たり前のことですが、外交は自国の利益のために、相手国の選択肢を狭めていく戦略を取らねばなりません。もちろん、最後は「言葉」ですから、その言葉の使い方、解釈の可能性も含めての戦略的使用が必要になってくるわけですね。
そういう部分では、もっと頑張らねばならないでしょう、日本は。
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