『昭和天皇と弟宮』 小田部雄次 (角川選書)
三笠宮崇仁親王殿下100歳のお誕生日、まことにおめでとうございます。まさに「聖寿万々歳」であります。
殿下はもちろん、百合子妃殿下も大変お元気でいらっしゃるとのこと、何よりお慶び申し上げます。
三笠宮さまは、言うまでもなく「昭和天皇の弟宮」さまでいらっしゃる。しかし、この本にはあまり登場しません。
大正4年のお生まれでいらっしゃるから、昭和天皇、秩父宮、高松宮の三兄宮とは少し歳が離れておられる。
そのため、ある意味、あの歴史の混乱期にはまだ少年から青年でいらっしゃった。そのおかげと言ってはなんですが、三兄宮と比べるとたしかに歴史からの距離感がありました。
この本では、「末弟・三笠宮」という一節が設けられているにすぎず、ほんの数ページにしか登場しません。この本には、昭和天皇と秩父宮、高松宮の三人の、いかにも男兄弟ならではの微妙な関係、ライバル心のようなものが、かなり詳細に表現されています。
だからこそでしょうか、三笠宮さまの、大東亜戦争末期の、あの南京派遣の際の一件(日本軍の風紀や意識に大きな問題ありとする発言)が、ある意味で自由で個性的な宮さま像として表現されているとも言えます。
私は、この実に魅力的な四兄弟宮さまの中では、特に高松宮さまに興味があります。無論、有栖川宮熾仁親王との関係(すなわち出口王仁三郎との関係)や仲小路彰との関係においてです。
考えてみると、高松宮さまと三笠宮さまは、最も年の近い兄弟であり、なおかつ近いと言っても10歳離れていたので、仲が良かったのではないかと推察されます。
とても叶わない夢ですが、やはりご存命でいらっしゃる証人として、三笠宮さまにぜひ昭和の時代の真実を教えていただきたいものです(きっとしっかり書き残してくださっていると思います)。
それにしても、この本を読んで私が感じるように、昭和、特に戦前戦中はすっかり「歴史」や「物語」になってしまっているのに、そのまさに中心にいらっしゃった宮さまが、お元気でこの平成の世に生きていらっしゃるということは、本当に尊いことであります。
お三人の男のお子様に先立たれたご心痛は察するに余りあるわけでありますが、そのようなことも含めまして、昭和という時代と、そして今の日本や世界や皇室について、はたしてどのようなご意見をお持ちなのでありましょうか。
テレビで大相撲や歌謡番組をよくご覧になるそうです。昨日のNHK歌謡コンサートもお楽しみになられたことでしょう。
そして百寿のお誕生日の今日もまた、日本と世界の平和を祈られたとのこと。ありがとうございます。ますますお元気でお過ごしいただきたいと存じます。
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