ザ・プロファイラー「“心やさしき巨人”の挑戦~ジャイアント馬場~」 (NHK)
再放送が17日17時からありますので、ご覧にならなかった方はぜひ。
「やさしさ」というテーマでNHKが馬場さんを取り上げてくれるのは、香山リカさんの「こだわり人物伝」以来でしょうか。
馬場さんのお人柄と、プロレスという不思議なエンターテインメントとの関係などについては、私も7年ほど前に、こちらに書きました。この時はBS日テレの正月特番でしたね。
今日の番組のゲストは、逸見愛さん、大槻ケンヂさん、馬場園梓さんでした。皆さんのご発言は、馬場さんやプロレス界に対する、まあ一般的な内容でしたから、いわゆるマニアの方々には細かい部分においてはいろいろと異論もあったものと思われますが、こういう一般に語られている「馬場物語」というのは、それはそれで私は大好きです。
というか、もう「物語」の範疇に入ってしまっているわけですね。昭和は昔語りの対象となったと。
ある意味、尾ひれがつき、都合の悪い部分は消されていく。これこそが「歴史」の本質であります。その点、大槻ケンヂさんは面白いですよね。もともとが「物語」好きですし、モノガタラー(?)として優れた方ですから。彼のような語り部は貴重です。いかにもネタとしては人や書物、テレビを通した伝聞。それを自分色に脚色して、ある意味大袈裟にプレゼンする。センスある言葉のチョイスで定型化していく。いいんじゃないですか。16文キックは誠実さの証とかね(笑)。
語り部ということで言いますと、ちょっと驚いたのが司会の岡田准一くん。彼の言葉が一番マニアックだったかもしれない(笑)。プロレスの本質が分かった上での司会ぶりでしたね。さすが一流のエンターテインメントの世界で生きている人です。
プロレスは芸能です。以前、能とプロレスをからめていくつか記事を書いています(たとえばこちら)。すなわち神事なのです。
この前、人間の意識こそが神だと書きましたけれど、未来への願望、妄想を結実させるのが神事であり、芸能であります。
そういう視点に立てば、八百長だとか、ヤラセだとか、アングルだとか、シナリオだとか、ホントは馬場なんか弱いんじゃないのとか、そういう話にはならないはずなんですよ。
プロレスは非常に次元の高い文化なのです。その中にあって、特にその本質を理解し、自らの異形性を活かしきったのがジャイアント馬場であったと思います。
ビデオに登場した方々、ビデオで証言した方々も味わい深かったし、懐かしかったなあ。特に渋みを増した倉持アナは良かった。声は変わってなかったですね。そしてプロレス愛も健在でした。
番組中、あえてワタクシ的名場面を選ぶとすれば、やっぱりラッシャー木村のマイクかなあ。あれで一気に涙腺崩壊しました。
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