『現代オカルトの根源』 大田俊寛 (ちくま新書)
先月もこちらで、私の「中二病」ぶりを書きました。本当にいい年をして、またセンセーという仕事をしていながら、自他共に認める「オカルト」的生活をしていて大丈夫なのでしょうか(笑)。
いや、大丈夫ですよ。この前も書いたように、そんな自分を非常に冷静に観察している自分もいますし、批判的に見る自分もいますから。どちらかというと分析対象なんですよ、自分が。世の中の現象や歴史のサンプルなんです。
この本も非常に冷静に私のような人間や時代現象を観察分析しています。すなわち…なるほど自分のこういう思考や嗜好や志向の根源がこういうところにあるのだなと、妙に得心させられました。
近代自然科学、特に進化論に対抗する形で生まれてきた「霊性進化論」。なるほど、それはキリスト教的な従前の霊性論の、それこそ進化形だったわけですね。それも異形の進化。
欧米の神智学、ポップオカルティズム、そしてその影響を受けた日本の新宗教たち。まさに私もその中で自分の居場所を求めてきた…今でもそうですね。だから、本当に自分のアイデンティティを見るような思いがしましたよ。
科学への本能的な疑念と嫌悪感(それは信頼と憧れの裏返しなのですが)、不安や被害妄想、さらには劣等感の結晶したものが、霊性進化という物語であり、その物語の登場人物としての「仮想敵」や「陰謀論」ということになるのでしょう。そう考えると、私も相当病んでますね(笑)。
そういう意味でこの本の「おわりに」は最も「痛い言葉」でした。筆者は、霊性進化論が往々にして純然たる誇大妄想の体系に帰着するとして、その負の側面を具体的に三つ挙げています。
・霊的エリート主義の形成
・被害妄想の昂進
・偽史の膨張
ふむふむ、私にはあまり被害妄想はありませんが、一番目と三番目はなんとなく身に覚えがありますね(笑)。危ない、危ない。
では、反省してそういう「しこう」をやめるかというと、ある意味意地でもやめないわけですね。
それは、私にとっては、やはり「実感」としての「霊性」というモノがあって、近現代の様々なオカルト的事象は、すべて「比喩」として目の前にあるという信念があるからですね。
ここ数ヶ月のことだけでも、とてもここには書けないような、「オカルト的」経験をしています。それも自分の思い違いとか思い込みとかではなく、第三者を巻き込んでの体験なので、さすがに否定しきれないわけですね。
私は、そうした自分の実感が、いったい何なのか、それを死ぬまでに確かめたいという本農的欲求があるのです(いや、死んだら分かるのかも)。
まあ、呆れる人は呆れてください。興味がある人は興味をもって眺めていください。
Amazon 現代オカルトの根源
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