『ヒミズ』 園子温監督作品
昨日書きましたように、我が家での初Fire TV Stick映画がこれでした。「ヒミズ」。
もう9年も前のことになるのですね。こちらにいろいろと書きました、古谷実の漫画「ヒミズ」。その映画版です。
映画化は難しいとされてきましたが、なるほどこういう形に昇華してきたかという感じでした。これは素晴らしい出来ですよ。
私の漫画「ヒミズ」評、今読むと(自分で言うのもなんですが)なかなか鋭い指摘をしていますね。この映画が非常に前向きなものになったのは、私のおかげでしょう(笑)。
「優しさ」「笑い」「道徳」「戯画」…最終的に残るのは、やはりこれらでした。
うん、いろいろ書かなくとも、9年前の記事を読んでいただければ、それでよし。
それにしても染谷将太くん、いいですねえ。見事に演じきっています。単なる暗い、残酷な映画にならなかったのは、彼の演技による部分も大きいと思います。
そういう意味では、先日紹介した「バトル・ロワイアル」よりもずっとクオリティーが高い。正直、その世界観に酔いしれてしまいました。
脚本的にも、言葉のチョイスがいい。太宰治の小説を読んでいるような感覚。
東日本大震災を織り込んだことには、賛否両論あるでしょう。私の捉え方も時々分裂しました。しかし、個人的な「死」と「生」を描こうとしていた時に発生した大地震、大津波、原発事故によって、それが公的なモノに変化してしまったのは、この映画の運命だったのでしょう。
もともと、フィクションの中での匿名性を持った「死」と「生」が、リアルな匿名性に成長してしまったのです。震災を戯画化、あるいは笑いに転化することは不道徳ですが、しかし、私たちがそうやって様々な悲劇、苦難を乗り越えてきたというのもまた、リアルな日本人のたくましさだと認めてもいいのではないでしょうか。
うん、実に面白かったし、感動もした。ストーリー、脚本、映像、役者さんの演技…こういう「空気感」は、いかにも邦画という感じ。外国受けも良いでしょう。娘ももう一度観たいと言っています。
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