『バトル・ロワイヤル』 深作欣二監督作品
安藤政信が結婚していたというニュースを見て、久しぶりに観てみました。プライムビデオで無料で観られましたので。
この映画は評価が分かれましたよね。今でもそうでしょう。毀誉褒貶。分かります。
ずいぶん昔にちょっと書いたような記憶もありますけれど、私は原作の小説「バトル・ロワイヤル」を非常に高く評価しています。珍しく一気に読んでしまった小説でした。
小説にしろ、映画にしろ、毀誉褒貶の「毀貶」の部分は、「残酷だ」という理由でしょうね。もちろん、そこには不快感を催します、私も。当然ですね.
しかし、私は最初から高く評価している。その不快感も含めて。
そう、この作品は「自分も同じ状況だったらこうなるかもしれない」という可能性を提示してくれているわけですね。それもいろいろ選択肢を。
友人を殺してでも生き残るのか、それとも殺されても友人を信じるのか、知恵を駆使して根底から状況を覆す努力をするのか、あるいは自殺するのか。
人間(自分)は究極の状況に置かれたら一体どうなるのか。現代のような平和の世の中では、それを考えないから、非常に単純な議論が多くなる。安保の時もそうです。安全だと分かっているから、危険、それも他人の(例えば不特定の「子どもたち」の)危険を語ってしまう。
実際の危険、たとえば「戦争」の現場では、そんな議論は無駄になってしまうのです。
では、そんなノー天気な現代日本で、そうした「究極の状況」「不条理な命の危険」を作り出すとしたら、この映画(小説)のような設定をするしかないですよね。
だから、私はこの作品をかつては「平和教材」として使いました。批判もありましたが、今でも間違っていなかったと思います。というか、久々に教材として使おうかなと思いました。センチメンタルでメランコリックでエモーショナルな戦争教材よりはずっといいでしょう。
この「バトル・ロワイヤル」はフィクションですが、先の戦争はリアルです。しかし、そのリアルは,、あくまで70年以上前のリアルですから、どうしても道徳的な解釈になりやすい。
その点、こちらのフィクションは今(と言ってもなんと15年前なんですね)ですから、ずっと教材としてはリアルになりうる。
そうなんです。「今」の「自分」にも、そういう「狂気」「残酷さ」「非情さ」があるということを原点にして学習しないと、全く他人事になってしまうのです。それが戦後教育の失敗そのものですよ。
ということで、皆さんも是非ご覧ください。そして不快な気持ちになってください。心から戦争がいやになりますよ。いや、戦争する「自分」がいやになりますよ。
深作欣二さんがあえてこの作品を「今」問うた意味はそこにあるのでしょう。そして、安藤政信がセリフを拒否した理由も実はそこにあると思うのです。
安藤政信、一時期全く姿を見ませんでしたが、今年からはまた映画にどんどん出てくれるとのこと。楽しみですね。あっそういえば、ウチの姉貴、安藤政信のウチに遊びに行ったことがあるんだよな。風呂まで入ってきたとか(笑)。地味にうらやましい。
それから、「今」の山本太郎、正直大っ嫌いですけど、もしかすると、この映画で生き残っちゃったから、「左翼」に転向したのかもしれませんね(笑)。
そして、やっぱり北野武はすごい。以上。
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