フジファブリック 『HALL TOUR 2015 Hello!! BOYS & GIRLS @日比谷野音』
本当に素晴らしいライヴでした。武道館に行けなかった者としては、ちょっと周りに置いて行かれた感があったのですが、今回の野音ライヴで私もいろいろな気持ちに整理をつけることができました。
フジファブリックにとっては9年ぶりの日比谷野音。私にとっては大学以来30年ぶり?あれはなんだったっけなあ。何かの音楽イベントだった記憶がありますが…あの日は暑かった。今回は木枯らしの中、とにかく寒かったけれども、心はほっこり温まりました。
まずは、メンバー、スタッフ、ファンの皆さんにお礼を言いたいと思います。本当にありがとう。
時間というのはなんと尊いものなのでしょうね。あれから6年。喪失の哀しみを自分勝手な違和感に転化してくすぶっていた私を救ったのは、淡々とした時間の積み重ねでした。そう、メンバーもファンもちゃんと一歩一歩前進していたのです。
もちろん志村くんの歩みも止まってしまったわけではありませんでした。今日も披露された「若者のすべて」が、柴咲コウさんにカバーされるとは、あるいは物語の続きとしての「ECHO」がセットとしてああして歌われるとは、志村くんも予想だにしなかったでしょう。そうした変化こそ命だと思えば、やはり彼はちゃんと生きているのだと…。
「サボテンレコード」や「打ち上げ花火」「モノノケハカランダ」が9年後に歌われ、その周囲を「今」のフジファブリックが埋めていくさまもまた、連環と創造という螺旋階段状の生命の本質を感じさせてくれましたね。
ある意味、ずるいなとも思いましたよ(笑)。俗っぽく言うなら「一粒で二度美味しい」的なコントラストを作り出せる。どんなバンドも過去曲はライヴの一つの目玉ですけれど、フジファブリックは特別じゃないですか。特にある種の違和感…それは敵対と言ってもいいかもしれない…が時とともにこうして融和していく物語が自然に提示される。
ただ、そのコントラストが、なんだろうなあ、なんていうか、今回は不思議とお互いにお互いをキラキラ輝かせていたというか、本当に自然に隣り合っていた感じがしたんですね。
おそらく志村くんも、あの場にいて、同じようなことを感じていたんじゃないかなあ。だから、あんなにたくさん「登場」しちゃった。いや、「志村くん」という言葉が何度も聞けただけでなく、いろいろいたずらしたり(3回以上?)、総くんの髪が風であおられるたびに志村くんに見えたりしたんじゃないでしょうか。
いや、一番苦しんだのは、あるいは違和感を抱いたり、いやいや、嫉妬していたのは志村正彦本人だったと思うんですよ。いろいろな意味でね。
そんな彼の複雑な気持ちが、ああいう形で、彼らしく屈折したユーモアの形で現れたんじゃないでしょうか。
そして、その裏側には、「フジファブリックとして続けてくれてありがとう」というストレートな気持ちがある…そう感じたのは私だけではなかったでしょう。
演奏のことなど、いろいろ書きたいこともありましたが、もうこれで胸いっぱいです。あっ、総くんお誕生日おめでとう。なんか永遠の少年のようですね。彼に代表されるように、ダイちゃんも加藤さんも純粋ないい人だなあ。そして、ファンの皆さんも。あの空間にいると安心できます。
さて次の参戦予定はツアー最終NHKホールです。また時が彼らをどう変化させているのか、今から楽しみです。
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