フジファブリック 『GIRLS』 (その2)
さて、昨日の続きといきましょうか。昨日の記事については、いろいろ賛否両論をいただいております。それはすなわち、現在のフジファブリック自身に対するそれぞれの思いなのでしょうね。
いつかも書きましたが、たとえばかのビートルズなんか、とにかくファンをどんどん裏切るような進化を遂げていきました。冷静にあのアルバム群を発表年代順に聴いていけば、それはそれは大変な変化ですよね。同じバンドとは思えないほど。
ファンというのは(私を含めて)大変わがままなものです。そうしたファンを巻き込んで、そう、ファンをも変化、成長させてしまうようなバンドが最終的に成功を収め、レジェンドになっていくんですね。今、フジファブリックもそういう過程を歩んでいるのでしょう。
では、続きを。
3「キノウ」
2でも大活躍だった加藤さんの作品。いきなりベースのパッセージから始まります。加藤さんの詞や曲は、相変わらずマイペースな感じでいいですね。この曲なんか、志村くんも普通に歌いそうですね。BOYSの「夏の大三角関係」と一緒に聞いてほしいとのことですが、そうそう、ファンの皆さん、 このGIRLSとBOYSを同じプレイリストに入れて、シャッフルして聴くと実に新鮮ですよ。つまり、男子と女子をごちゃまぜにして、それでいろいろな出会い(恋)を楽しんじゃうんですよ。もしかすると、それが「正式な」楽しみ方なのかもしれません(笑)。
4「裸足のバレリーナ」
大ちゃんの曲。これが実は一番「志村色」が強いですね。えっ?と思われる方もいらっしゃるでしょう。音楽的にはユーロビートですから、ちょっと昔のフジファブリックとは違う感じですよね、たしかに。でも、あの総くんの声をちょっと妄想で志村くんにしてみてください。あっ、「志村節」だというところがたくさんあります。
そういうところから、大ちゃんの志村くんへの思い入れというか、志村くんからの影響というのを感じないわけにはいきません。
去年の命日、志村くんのお墓で偶然メンバーの皆さんとお会いしました。冷たい水に手を浸して、お墓に登って、一生懸命墓石を磨いていた大ちゃんの姿を思い出します。
私はこの曲が一番好きです。
5「BABY」
1「夜明け前」にエンディングの座を奪われるかと思いきや、この曲もまた鳴かせますねえ。ベースの下降音型といういわゆる王道進行にプチ転調の胸キュン進行など、コテコテに陥りやすい展開ですが、そうなっていないところは、総くんの、ある意味テクニシャンなところ。そして、やはり大ちゃんのセンスでしょうかね。こういう曲で、あんなビヨ〜ンな音色は使わないでしょう、普通(笑)。そこがフジファブリックなんですよねえ。三枚目という頑なな個性。やっぱりアイドルにはなれませんね(笑)。
ちなみに、ドシ…と下がっていくベースの上に、同じくドシ…と下がるメロディーを乗せるのは案外勇気がいりますし、半端なプロはそこさを避けようとするんですよね(クラシックの音楽家たちももちろんそうです)。その勇気を持っていて、かつちゃんとそれを名曲に仕上げたのは、私が知っている限り、吉井和哉(「JAM」)しかいません。
というわけで、いろいろ好き勝手書いてきましたが、とにかく「男子と女子のシャッフル」をおススメします。
25日、日比谷野音に行きます。そこでどんなシャッフルが聴けるか、今から楽しみです!
Amazon GIRLS
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 間宮貴子『LOVE TRIP』(2021.03.05)
- キャンディーズ 『哀愁のシンフォニー』(2021.03.03)
- カサド&原智恵子のボッケリーニ(2021.03.02)
- 『曼荼羅』 石堂淑朗 脚本・実相寺昭雄 監督・冬木透 音楽作品(2021.02.28)
- 『波の盆』 倉本聰 脚本・実相寺昭雄 監督・武満徹 音楽・笠智衆 主演作品(2021.02.27)
コメント