玄侑宗久さん講演会『不二のお山とヤンジさん』
富士吉田に深いゆかりのある夭逝の芥川賞作家李良枝。
彼女のことはごく簡単にですがこちらに紹介しました。
彼女と交友のあった、同じく芥川賞作家である玄侑宗久さんが富士吉田においでになり、講演をしてくださいました。
私もなんとなく彼女に縁を感じており、いちおう全集も手に入れてぼちぼち読んでいたところだったので、今日の玄侑さんのお話は実に興味深かった。
彼女の人生を振り返るよい機会になりましたし、富士山が彼女にとって究極的にはやはり「不二」であったというのには、なるほどと納得させられましたね。ありがたいお話でした。
日本と韓国…自らのアイデンティティーに悩み苦しんだ李良枝。その悩み苦しみは、彼女の尊敬する太宰治と同様に、多分に自己暗示、自己演出の傾向があると思うのですが、まあ、作家というのは、そうしてあえて二択の狭間でふらふらしながら、最終的にその統一を図るという、いわば修行者なのでしょうね。
こちらに勝手に紹介させていただいた「富士山」という短編。これについて、私はすっかりだまされていましたね(笑)。
考えてみれば、実話のわけはない。今日の玄侑さんの裏話によれぱ、まさに太宰と同じような虚実のバランス感覚ですね。
富士吉田市下吉田、月江寺界隈という、まんま太宰治の生活と小説の舞台に育った李良枝は、そういう感覚を実地的に感得していったのでしょうね。私もそこのところを共有させていただいているので、よ〜く分かります。
フジファブリックの志村正彦くんにも全く同じことが言えます。そう考えると、ここ(我が校のあるところ)は本当に特別な「トポス」なのですね。ありがたいことです。
富士山はやっぱり特別な存在。不二はキーワード。
ここのところ全集も開いていなかったので、久しぶりに引っ張り出してきますか(中学の図書室に置いてあります)。
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