『憂國』 三島由紀夫監督作品
昨夜より所用で静岡市の実家に来ているのですが、信じられないとんでもない「霊現象」が起きて驚いております。
それによって知らされたこと、それは二・二六事件の首魁として処断された安藤輝三大尉の奥様は、静岡市の出身で、夫亡きあと静岡に戻って洋裁教室を営み、女手一つで二人の息子を育て上げたということです。
安藤大尉と言えば、事件で鈴木貫太郎襲撃の際、鈴木の夫人の請願を聞き、とどめを刺さなかったことで知られています。
のちに昭和天皇とともに終戦を導く首相となった鈴木は、安藤のことを「命の恩人」と言っていたとか。考えてみれば、結果的には安藤は日本国にとっても「命の恩人」となったとも言えますね。
さて、不思議な現象にいろいろ教えられたあと、たまたまこの映画を観ることになりました。
ご存知のように、この「憂國」は、三島由紀夫が自身の短編小説を映画化したものです。(巻物の)日本語版を観るのは、実は初めてです。
三島自身の監督主演によるこの映画。二・二六事件決起に誘われなかった新婚の将校夫婦の自害が描かれています。
憂國、至誠、大義、切腹、死、エロティシズム、能、映画、音楽…いかにも三島らしい要素が詰まっており、これを日本文化の総花と見ることもできますし、なんとなく三島らしい(いろいろな意味での)「痛さ」のデパートと見ることもできると思います。
平成の世からすると、もう三島の精神性自体が「物語」「神話」となってしまっているのだなあと、私は感じてしまいました。
特に、ここのところ、不思議な縁で二・二六事件の当事者たち(!)と関わることが多いので、ある意味三島の矛盾が鼻につくのも事実です。つまり、「憂國」と言いながら、どうにも自我が肥大しているという…まあ三島自身はそこに気づいて「カッコ悪い自害」をに至ってしまったのでしょうが…矛盾。
この映画でも、やっぱり三島は自己に陶酔している。自分が日本であるという真正保守の信念は、そういう危ういバランスの上に成り立っているのです。
西洋の個人主義を乗り越えるために想定された装置の限界ですね。戦後の私たちはそこをどう超克していくのか、それを試されているのかとも思います。
武士道という言葉にも疑問を抱かざるを得ません。武士の歴史は、日本の歴史においては案外に短い。当然武士の文化も総体的な日本文化からすると実は浅薄であったりする。
三島は当然、日本の悠久深淵なる文化をよく理解していたと思われますが、それでもやはり武士的世界にこだわったのは、自我が強すぎたからでしょうか。
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