テレマン 『雷の頌歌』
Die Donner-Ode
皆さん、リスボン地震ってご存知ですか?
1755年、ポルトガルのリスボン近くを震源とするM9の超巨大地震です。津波での死者1万人を含む約6万人が亡くなったヨーロッパ史上最大最悪の自然災害です。
その惨状はすぐにヨーロッパ全土に伝わりましたが、なにしろ現代と違って口コミによる伝言ゲームのような感じでしたから、より恐怖心を煽ることになったと思います。
政治経済的なダメージがあったのは当然のこと、宗教的、思想的、哲学的にも大きな影響がありました。ヴォルテールやルソー、カントらにも少なからぬ衝撃を与えたと言われます。
日本の東日本大震災と同様、ある種「神の怒り」的な捉えられ方をしたんでしょうね。分かります。我々の近代的生活を反省する機会となったわけです。実際、当時のヨーロッパでも「自然に帰れ」的な運動が起きたとのこと。
芸術の分野でも、たとえば死者に対する慰霊、神に対する慰撫の意味を持った作品が生み出されました。
そのうちの一つ、あまり知られていませんが、かのバロック音楽の大家テレマンが素晴らしい傑作を残しています。
私はドイツ語がよく分からないので、どのような内容なのか解説できませんが、音楽としてはまさに最高傑作と言っていいと思います。
地震の翌年に第1部が初演されています。ということは、当時のテレマンは75歳。時代としてもハイドンがそろそろ交響曲を書こうかという頃ですから、たしかにバロックを超えた作風となっていますね。
テレマン、年をとっても創作意欲は衰えなかったし、進取の精神に富んでいたということでしょう。
この曲は大変好評だったために、1760年に第2部が作曲されたとのこと。80歳近い。すごいですね。生涯で作った曲は4000曲を下ることはないと言われています(自分でももちろん把握していなかった)。船村徹先生と同じくらいのすごい大衆作曲家だったわけですね(笑)。
そう、この曲、「地震」じゃなくて「雷」ですよね。ドイツではほとんど地震は起きません。話に聞いてもイメージできなかったんでしょうかね。地震雷火事おやじじゃないですが、大地が揺れるというと、雷が落ちた時くらいですから、こういう作品になったのかな、などと想像しました。
聖書でも、雷と地震は同時に描かれることが多いですし。
ちなみに、リスボン地震の周期はよく分かりません。14世紀7回、16世紀5回、17世紀3回、18世紀3回発生したと言われ、上記の1755年を最後に、その後起きていない…つまり、いつまた起きてもおかしくない状況なのでした。
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