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2015.07.09

『あなたは音楽をどう愛す? ~新・配信ビジネスの衝撃~』 (NHKクローズアップ現代)

21 た音楽配信サービスの話。スミマセン。
 ただ、ちょっとまじめに考えていることがあるので、それを自分の中でまとめるためにも書きます。おつきあいください。
 おととい、クローズアップ現代でこの件が取り上げられていました。番組の内容がテキストで読めますので、ぜひ。こちらです。サカナクションの山口くんや、佐野元春さんら、現場の声も貴重。
 まず前提として、私はレコード音楽文化、今で言えばCD音楽文化ですね、それがはたして音楽史的に見て正常(普通)であるのかということです。
 本来、音楽は一回性の芸術。ライヴなものだったわけですよね。録音文化によって革命が起きたのは、せいぜい100年くらい前の話。つい最近です。
 そこから、一気に「商業音楽」というのが世界中にばらまかれました。もちろん、そのおかげで、私たちはビートルズにもストーンズにも、また古いヨーロッパの音楽や、アフリカの民族音楽に出会うことができたわけですよね。
 加えて、ピーター・バラカンさんも言っているように、実は「ラジオ(&テレビ)」という無料の音楽配信サービスも昔からあって、たいへん大きな力を持っていた。
 それもまた、音楽のデータ化とそのコピーの量産という近代技術があったからこそできあがった文化ですよ。
 そう、その根本である「音楽のデータ化」、ワタクシの言い方からすると「コト化」が進んだ、すなわち「モノノネ」であった音楽が、いつのまにか「コトノハ」の一形態になってしまったわけです。
 これは、古代の口承文化が文字文化に置き換わったようなものであるとも考えられます。そう考えると、コト化は決して不幸なことではないことが分かりますよね。文学の発展にとっては、文字や印刷技術の発達というのは不可欠な存在です。
 音楽というジャンルにおいても、一面では「コト化」技術の発達が、音楽自身の発達にも寄与しましたよね。
 では、他の一面ではどうかというと、たとえば言語芸術の一つとも言える演劇では、今なお「ライヴ」なモノが重視されているように、音楽においても、コト化の無限の拡がりが本来的なモノ性の再評価を促す可能性が多分にあると思います。
 そうすると、この100年間の「大衆商業音楽時代」が、どちらかというと異常な状況であり、そういう意味で、その増殖したコト(音楽ソフト)の価値が低下して、限りなく無料に近づいていくのはしかたないとも言えるのです。
 面白いのはそういう当然の価値逓減(無料化)への動きに対して、appleが正義の味方的な役割を果たしていることですね。
 すなわち、appleがiPodやiTunesを生み出し、結果としてCDが売れなくなった…というのは、実は正常進化を促したわけで、なおかつ、当時違法なファイル交換によって秘密裏に無料化が進んでいたのを、合法的に廉価な音楽を提供するシステムを作って是正した。これは逆に言えば、増殖した音楽ソフト(CD)が高すぎたことを意味していますね。
 さらに今回AppleMusicが満を持して登場したことによって、コト化された音楽情報の価値はまた下がった。加えて再生回数によって音楽家の収入が変わるわけですから、より公平化されたとも言える。1曲150円で統一されていた状態は、情報と価値の関係からすると公平ではなかったのです。
 こうなってくると、音楽家は今後、音楽のモノ性という原始的、本来的な部分を重視せざるをえなくなってくる。ま、普通に分かりやすく言えば「ライヴ」です。音楽が持つ、一回性という生命力と、しっかり向き合わなくてはならない。
 先ほども書いたように、音楽史の中で言えば、あるいは芸術史の中で言えば、やはりこの100年間が、異常とは言わないけれども、非常に特殊な状況であったということで、こうしたストリーミングへのストリームは正常進化であるということです。
 ここでも、Appleが正義の味方になっているわけですね(笑)。そういう文化史の画期に関わるところがAppleのすごさであり、魅力であると思うわけです。
 もちろん、「ライヴ」をどのようにビジネス、生業として成立させるかという問題はありますが、それはおそらく心配ないでしょう。ライヴがソフト販売のプロモーションであったり、ライヴよりも物販で設けるなんていう状況は、そのうち是正されるでしょう。
 というわけで、コト(情報)がモノ(生命)の入り口になると信じて、私はAppleMusicをどんどん使っていきたいと思っています。
 なんだかよく分からない文章になってしまいました。長々と失礼しました。

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