『カルト資本主義』 斎藤貴男 (文春文庫)
この本で紹介されている(すなわちカルトと認定されている?)ソニーエスパー研究室、稲盛和夫、EM、船井幸雄、アムウェイ…はたまた、それらに深く関わる出口王仁三郎、谷口雅春、さらにはTOSSの向山洋一に至るまで、読者の皆さんもよくお分かりのとおり、ワタクシはかなり近い関係にあります。ご本人やそのご子孫とは、ほとんど直接の知り合いと言ってもいい。
とは言っても、私は他の分野、他の人々とも同様の距離感にありますので、決してアヤシイ一辺倒ではありませんので、ご安心くださいませ(笑)。
その証拠に…と言ってはなんですが、この本のように「反カルト」の姿勢を崩さないものも、楽しく読むことができます。あんまり面白くて2時間かからず読破してしまいました。
それぞれの、いわゆる信者さんだったら、そうは行かないでしょう。斎藤さんの物言いはきっと鼻につくというか、そうとう頭にくることと思います。そのくらい、はなから「カルト」と決めつけ、その危険性や詭弁性をしつこく糾弾しています。
そういう信者さんたちは、斎藤さんの言うとおり、「ニューエイジ」の影響を知らぬ間に受けているのでしょう。というか、この本を読んで、「ああオレって、まんまニューエイジじゃん」と私も思いましたよ(笑)。
尊敬する宗教学者の島薗進さんによるニューエイジの特徴は次のようになっております。
・自己変容あるいは霊性的覚醒の体験による自己実現
・宇宙や自然の聖性、またそれと本来的自己の一体性の認識
・感性、神秘性の尊重
・自己変容は癒しと環境の変化をもたらす
・死後の生への関心
・旧来の宗教や近代合理主義から霊性/科学の統合へ
・エコロジーや女性原理の尊重
・超常的感覚や能力の実在
・思考が現実を変える
・現代こそ意識進化の時代
・意識進化は宇宙的進化過程のひとこま
・輪廻転生とカルマの法則
・地球外知的生命(ETI)との接触
・過去の文明の周期と埋もれた文明の実在
・人体におけるチャクラや霊的諸次元の存在
・水晶、音、香、場所などが持つ神秘力
・指導霊の実在
・体外離脱や誕生前記憶の体験による霊魂の存在の確認
・チャネラーやシャーマンの真正性
なるほど、よく網羅されていますね。まあいろいろありますが、結局のところ「科学的ではない」という一言で片付けてしまうことが可能ですね。
さらに上記のようなニューエイジ運動から生まれた現象や集団についても、島薗先生はまとめています。
一部を挙げますと、自己啓発セミナー、ホリスティック医療、超越瞑想、仏教的瞑想・共同体、気功・合気道、UFOカルト…てな具合です。これらには私はあまり直接関与してこなかったのですが、最近、ご縁があって、仏教的瞑想や気功・合気道の達人の方々にお会いする機会をいただきました。
斎藤さんに言わせるとこれら全部「カルト」になっちゃうわけですが、客観的な立場で言うと、さすがに「カルト」は言い過ぎであると思います。
これらを「カルト」と言ってしまったら、私たちの消費活動のほとんどが「カルトに洗脳されている」ということになりそうですね。ですから、「カルト資本主義」という言葉を使うとしたら、もっと広範な領域をその対象としなければならないでしょう。
もちろん、斎藤さんは、俎上に上げた人々や集団や活動を批判したいがために、当時オウム真理教のおかげで必要以上に危険な語感を持つに至った「カルト」という言葉を使ったのでしょう。
どちらかというと、私は「オカルト資本主義」の方が的を射ていると思いますけどね。超常的、非科学的、あるいは疑似科学的なモノが商売になっているという意味では。
しかし、私は、これら「オカルト」を全否定できない人間です。全否定しないどころか、かなり「好き」です。信じる信じないではなく「好き」なのです。
そういうところをもって、トンデモ教師のレッテルは貼られそうになることも大いにあるわけですが、それでも全くひるみませんし、ホントのところ、かなり自らの「洗脳力」を警戒していますから(笑)、純粋なる生徒たちをたぶらかすようなことは言っていませんよ。
では、なぜ私がそれら「(オ)カルト」を好むかと言いますと、それは…私が宇宙人だからです!…って、もっとアブナイ教師じゃないか!w
ということで、とても楽しい本でした。地球人の皆さん、ぜひお読みください。この本が書かれたのは、1997年。世紀末を迎えんとしている頃でした。
はたして、当時世界に描かれていた「予言」は成就しているのでしょうか。はたまた、その頃から我々人類は進化しているのか、オカルトやカルトは今でも生きているのか。そういう読み方をするだけでも、とても楽しい本ですよ。
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