読書のしかた
私は世間的には国語教師ということになっているようですが、本人にその意識はかなり希薄です。生徒はどう思っているのでしょうか。
自分が国語教師らしくないなと思うポイントの一つとして、読書量の少なさが挙げられます。
子ども時代からとにかく本を読むことが苦手でした。親や先生にはしょっちゅう「本を読みなさい」と言われてきましたが、いやなものはいやです。
特に小説はほとんど読んできませんでしたし、今も読みません。いや、読めません。これは障害かもしれません。
しかし、一方で、自己肯定のための妙な理屈があります。太古、日本には文字がなかった。文字がないのだから、当然本もない。だから読書という概念もない…とか(笑)。
また、いわゆる「黙読」も歴史的に言えばごく最近の文化、技術です。さらに「小説」なんていう特殊な分野はある特定の時期の特殊な文学形態であり、その役目は三島の死によってとっくに終っている…とか。
いやいや、このブログにはけっこう書籍の紹介記事があるではないか、それなりに読書しているではないかと言われるかもしれません。たしかに、ウチにはかなりの蔵書があります。
しかし、それらは、私にとってはインターネットのサイトと同じように、あくまで情報源でしかなく、自分の思考や感覚を強化したり、逆に自分の思考の暴走を抑えるといった役割を果たしているにすぎません。
つまり、私の場合、未知のストーリーを楽しむとか、未知の世界への入り口とするとか、そういう「初体験」的な意味での読書はありえないのです。
まず自分自身の試行錯誤ならぬ思考錯誤があって、のちに他人様の脳ミソの中の情報を拝見、拝借するという感じなのです。
だから、どちらが主体かというと、やはり自分の思考錯誤であって、ある意味読書なんてしている暇はないのであります。
おかげで、私の言説はかなりぶっ飛んでいて、それこそ書籍にはなりえないほどに、とっ散らかっています。
よく「本に書いてくれ」と言われるのですが、やはり無理なものは無理。言語化して、さらに文章化して、書籍化してしまうということは、生きた思考を殺すことになってしまうという恐怖があります。
では、このブログは?というと、かなり無責任なテキスト群ですから、このまま「本」になんかなりっこありません。私の戯言をテキスト起こししただけですので(笑)。
さて、そんな私の「読書のしかた」について、強力な後方支援をしてくださる方がいらっしゃいます。かのアインシュタイン先生です。
冒頭の「ある年齢を過ぎたら」を消してしまいたい衝動にかられますけど(笑)。
Reading, after a certain age, diverts the mind too much from its creative pursuits. Any man who reads too much and uses his own brain too little falls into lazy habits of thinking.
ある年齢を過ぎたら、読書は精神をクリエイティブな探求から遠ざける。本をたくさん読みすぎて、自分自身の脳を使っていない人は、怠惰な思考習慣に陥る。
Amazon アインシュタイン150の言葉
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