明全和尚の逸話
今日から明日にかけて、恒例の塩山向嶽寺での宿泊座禅。中学2年生と若い先生方とともに体験しております。
今日もまたいつものとおり、実に気持ちよく座らせていただきました。不思議なくらい気持ちいい。死ぬまで座っていられるような気がする。
あの「塩ノ山」の持つ独特のエネルギーのおかげでしょうか。そこで600年以上にわたって修行してきた高僧や雲水たちの「座」が堆積しているからでしょう。いや、その両方でしょうね。
管長さまの法話も、私にとってまさにタイムリーな内容でした。明全和尚さまの逸話。
明全は栄西の弟子、道元の師匠です。両者があまりに有名ですので、あまり一般には知られていませんが、日本の禅の歴史を語る際、実は忘れてはならない人物です。
あまり時間がないので、ごく簡単に今日のご法話の内容を書きます。
明全和尚は禅の奥義を究めんとして、道元らと宋に渡ろうとします。しかし、ちょうどその頃、明全のもう一人の師匠である延暦寺の明融が高齢で床に臥していました。明融本人も、また周囲の人も、師匠の最期を看取ってから宋に渡ることを望んだのですが、明全はある意味恩師を裏切る形で宋に渡ってしまいました。
それは、師匠への恩義よりも大切な、スケールの大きい「人類救済」という志があったからです。おそらく明全は迷ったと思いますが、結局個人的な報恩よりも上の次元での報恩を選んだのでしょう。
結果として明全は宋で客死してしまい、本人の人生においてはその志は達成できなかった。しかし、その志は道元に受け継がれて日本曹洞宗の誕生と隆盛を招くことになりました。
このお話には、いろいろな示唆があります。
時機が大切であること。個人の価値観を超える大志、大義があること。そうした大志、大義は自分の人生という限られた期間で達成すべきものではないこと。様々な条件が揃わなければそれらの達成や継承は実現しないこと…。
実は私も地球スケールでの大志(私の場合は妄想とも言えますが)を持っています。最近、それへの活動がなんとなく停滞しており、毎日のように空しさを感じていました。
しかし、今日、管長さまのご法話を聴いて、「なるほど」と思い、そして安心し、よってやる気が再び生まれてきました。
面白いもので、管長さまは冗談で「今日は山口教頭先生のためにお話します」とおっしゃって法話を始められたのですが、まったく不思議なことに、まさに今の私にぴったりの法話でありました。生徒たちにはちょっと難しかったかもしれませんが。
仏縁に感謝であります。報恩という意味でも、また明日から頑張り直します。ありがとうございました。
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