西湖いやしの里根場
この前日曜日にふらりと行ったところ。正式入場せず、入り口のお店で天ぷらそばとチューハイを注文いたしました。
何度か中に入ったことはあります。観光客、特に都会からやってきた方々には、たしかに楽しめるテーマパーク(?)であると思います。
私は地元民です。なぜ時々ここに出かけるかというと、「根場」の雰囲気を味わうためです。
「根場」…「ねんば」と読みます。読めませんよね、ふつう。
私にとっての「ねんば」は、一つは昭和41年の台風による土石流災害。今はのどかな「いやしの里」ですが、半世紀前には集落が全滅、94人が亡くなりました。
今、「いやしの里」が復元されているのは、まさにその悲劇の現場です。観光客のほとんどがそういう事実は知らないでここでいやされています。
先日、軍事施設が公園になり、戦地が観光地になることについて書きましたが、まあ、こういう忘却こそが慰霊になるというのも事実ですね。
実際、根場に立つと、ものすごく急峻な山々に囲まれた危険な区域であることを感じます。危険ではありますが、一方では守られているような気持ちにもなる。まさに山々の荒魂と和魂を感じる場所です。
もう一つ、根場というと、以前紹介した大隈重信らの計画した甲信鉄道を思い出します。
現場に立つと、その計画がいかに無謀というか、トンデモなくぶっ飛んでいたかがよく分かります。ここに鉄道を通すって…。
昨日の話じゃありませんが、昔の男ってホント「馬鹿」でしたね。もちろんいい意味での「馬鹿」ですよ。
そうして馬鹿な夢を実現しようとして、いろいろな技術が生まれ、世の中が変わっていく。残念ながら甲信鉄道は実現しませんでしたが、この根場には、そういうお馬鹿な夢に挑戦した男たちのロマンと、それをきっちり阻んだ自然の厳しさを感じさせる「オーラ」があります。
観光地としては地味ですが、皆さんも富士五湖地区にいらした際には、ぜひお立ち寄りくださいませ。
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