『日本の黒い夏 [冤enzai罪]』 熊井啓監督作品
先日BSで放送されたものを録画で鑑賞。
ふだん、映画はおろかドラマさえじっくり観ることのできない上の娘も、テスト勉強をそっちのけで見入っていました。
社会派作品であり、地味な上に地味を重ねたような内容でありながら、意外にも上の娘をこれほど引きつけたのには、それなりの理由があることでしょう。
熊井啓監督らしく、奇をてらうことなくストレートにテーマを表現しています。つまり、映画自身もまた大衆メディアであり、マスコミュニケーションであるという自己矛盾ともしっかり向かい合っているのです。
言葉一つ、カット一つの切り取り方、つなぎ方、聞かせ方、見せ方によって、私たちをいくらでも先導、煽動、洗脳することができる。
それはある意味化学兵器よりも恐ろしいのかもしれないし、カルト教団よりも恐ろしいのかもしれない。
私は、この映画を観て、そう感じました。もしかすると、熊井さんの目論見どおりなのかもしれませんね。
ちょうど、おバカな議員と作家による品性のないマスコミ批判がニュースになっているところですね。
この映画にも冤罪がマスコミによって作れていくプロセスが描かれていますが、結局のところ、我々情報を受け取る側の愚かさの問題であるような気もします(私も松本サリン事件ではマスコミの論調を鵜呑みにしていました)。
それにしても河野さんは本当に大変な目に遭われました。あらためてそこに胸を痛めました。
こういう言い方は非常に失礼であるとは承知していますが、私は河野義行さんという特別に高い次元の魂をお持ちの方だからこそ、このような受難を体験されたのではないかと思っています。
奥様は事件から14年後の2008年にお亡くなりになりました。その時、放送されたドキュメントを観て、私はこういう記事を書いています。そこに全てが書かれていますね。今も全く同じ気持ちです。
この映画をご覧になった方は、ぜひともこのドキュメントも観ていただきたいと思います。熊井さんはこの前年に他界されています。このドキュメントを観たら、どんな感想を持ったことでしょう。
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