高校総体開会式という演劇空間(再び)
今日はスポーツに関するニュースがいろいろありました。
スポーツ庁設立の法案が通ったり、芸能人を招いて、東京五輪・パラリンピック組織委員会の「文化・教育委員会」が開かれたり、2020に向けて着々と準備が進んでいます。
山梨県内ではJリーグの監督辞任、そして高校総体開幕。そうそう、高校総体と言えば…実に面白い話があります。というわけで、今日は久しぶりにその話をしましょう。
今年の総体開会式、ウチの長女はブラバン軍団の一員として参加(実際はやることなかったようですが)。で、さっそく私に報告してくれたのですが、この開会式がものすごい演劇空間になっているんですね。
それについては、11年前(!)にこんなふうに書きました(昔は記事が短かったな)。
もうあれから10年以上経っていますが、まさにさすが保守王国山梨。伝統芸能を守ることに関してはなかなかであります。いまだにその独特の形態を保っている。
今年も行進している選手団は全部ニセモノ。どう見てもインドア系、オタク系の留守番組だったそうです(含む色白小太り)。
そういう生徒たちが慣れない日光の下、ダラダラと行進をして、炎天下で偉い人たちの祝辞なんかを聞かなくてはならない。その祝辞がまた「君たちのたくましい姿を見るにつけ…」なんていうギャグだったりするわけで、これを笑わずしていかにして鑑賞せよというのでしょう(失礼は承知です)。
さらに11年前の記事には書きませんでしたが、この開会式には警察も出動しています。なぜかと言うと、長ランボンタンやら特攻服やらに身を包んだ謎の「ツッパリ軍団」も参加(?)するからです。この伝統文化はさすがに絶えてしまったかとおもいきや、娘の報告によると、今年も数十名の「選手団」が参加していたとのこと。
彼らは高校を中退した者であったり、あるいは高校に進学しなかった者であったり、実はもう三十歳のおじさんだったりするのですが、彼らが「健全な高校生」の祭典に乱入するというのが恒例になっているんですよ(他の県にはこういう文化はあるのでしょうか)。
以前は彼らが本当に行進に参加してしまったりという見事な演出(?)もありましたが、今日はとりあえず乱入前に警察に阻止されてしまったとのこと(その後、陸上競技会場に乱入し威力業務妨害罪で逮捕されたようです)。
つまり、この「高校総体開会式」には健全なアスリートはほとんどおらず、全く逆の世界の住人、帰宅部、オタク、そしてツッパリ(不良)という、実に健全なる文化人が集合しているということであります。
ちなみに先生たちも、運動部顧問ではなく、文化部顧問などの居残り組です(笑)。
これを「演劇」と言わずしてなんと言えばよいのでしょうか。
ちなみに「ホンモノ」の体育会系の人たちはどこに行っているかというと、もうすでに各会場に散らばって競技を始めているわけですよ。
なんでここまでして、ニセの開会式を虚構…いや挙行するのか?
あっそうそう、県知事もニセモノ(代理)だったようです。
まったくもって面白い文化であります。いや、だから「こんな無意味なことやめろ!」と言いたいわけではありません。まったく逆です。いつまでも続けてほしい。「文化」の継承はとても大切です。
なくなってもいいものがなくならない場合、たいがいそれは「神事」なのです。
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コメント
こんにちは。アハハハハハ(爆笑)!!笑ってはいけませんが、アハハハハハでございます。そういえばあれは、壮大な芝居です。
行進しているのはたいてい一年生を中心とする文化会系(私も高校1年次に有無を言わせず行進要員になりました)。総体で試合がない野球部が行進する、という例もありますので、一応体育会もいることはいますが、ごく少数です。そして集まる、横浜銀蝿や氣志團のような方々。逮捕事例はおそらく初ではないかと思います。
そして炎天下で出席を取りながら、日焼けを気にする文化部顧問たち。
まさに演劇部のためのイベントです!
投稿: A.I | 2015.05.15 00:54