寺山修司実験映像
今日は寺山修司の命日。1983年(昭和58年)に47歳で亡くなった寺山修司。
私は当時大学1年生でしょうか。どちらかというと彼が死んでからのファンであり、その後は映画、文学、演劇などの分野において非常に大きな影響を受けました。
姉が演劇をやっていて、寺山に心酔していた(実際会ってるんじゃないかな)のも大きかったかもしれません。
その後、結婚してからはあまりその本や映像に触れなくなってしまいましたが、ここ数年短歌をやり始めて、それも寺山に多大な影響を受けた笹公人さんを師匠としたため再び気になりだし、地下室から昔読んだ本を引っ張り出してきたりしています。
いつのまにか、彼の亡くなった年齢を越してしまい、年下の表現者として見るようになってしまったことにまずは驚きましたね。そして、そうして見ると、若かりし頃没頭した時に気づかなかった彼の「少年性」を実感せずにはいられない…いや、もちろん寺山の少年性というのは観念としては知っていたわけですよ。しかし、なんとなく実感としてはなかった。
そう、寺山はどちらかというと「若気の至り」で背伸びした先にいる存在だと思っていたわけです。多くの「少年」にとってそういう存在だったのでしょう。
今になってみると、上の貴重な動画にある美輪明宏さんや唐十郎さんの言葉もよく分かる。美輪さんの言葉、「凡人には天才の頭の中が分からない」「海外では評価されているに国内では…」というのは実に皮肉ですよね。
ちょっと複雑な話になりますが、つまり、「大人には少年の頭の中が分からない」「少年には評価されるのに大人には…」ということではないでしょうか。
パラドックスですよね。背伸びして大人になろうとしていた少年の私は表面的には共感し憧れていたけれども理解はしていなかった。逆にすっかり大人になってしまった今の私には、なぜか理解できる。
当時の日本も背伸びしていたわけです。それで分かったふりをしていた(批判も含めて)。
そんな中、寺山も美輪も唐も谷川も三島も、みんなリアルバカボンだった。なんだか有り体な言い方になってしまいますが、「天才=少年性」なんですよね。大人のふりをする社会においても、少年として闘い続けられる存在。
大学を卒業してセンセイになってからですが、寺山の実験映像のVHS全集を買って、毎日のように観ていました。自分自身もビデオカメラを買って、それらしいものを撮ってみたりしていました(笑)。恥ずかしい作品が地下室にあるかもしれません。しかし、それらは決して「少年性」によって撮られたものではなく、あくまでエセ大人がそれらしくやってみました的な駄作に過ぎません。
その寺山の実験映像ビデオは、教え子の誰かに貸してそのまま返って来ませんでした。それはそれでいいと思ったということは、当時はそれこそ「好きなふり」をしていたのでしょうね。実はよく分かっていなかった。
ということで、自分も50歳を過ぎてある種の諦めの境地に至り、多少はバカボンに近づいてきましたので、ここで改めて寺山の実験映像を観てみたいと思います。不思議なもので、中1になった次女が、異様に興味を持っています。なんでも映画監督になりたいのだとか。はたして彼女は「少年」の感性を持ち続けることができるのか。
せっかくですから、「田園に死す」もどうぞ。
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