『田舎の無名高校から東大、京大にバンバン合格した話―西大和学園の奇跡』 田野瀬 良太郎 (主婦の友社)
勉強になりました。読む前は同業者として、もしかすると反感を抱く部分もあるのではと予感していた(実際そういうサクセスストーリーをたくさん聞かされてきた)のですが、この本、つまり田野瀬さんや西大和の先生方の考え方にはほとんど共感できました。
私も「田舎の無名校」の教員であり、東大、京大にバンバンとは言える状況ではありませんが、その前段階に向けての夢はずっと持ち続けています。
特に今年度はいろいろな意味で私も西大和の先生方に負けない闘志で頑張らねばなりません。そういう意味で、個人的にもとても良いタイミングでこの本と出会うことができました。
西大和の教育方針や経営方針に納得したのはもちろん、私がこの本を読みながら強くうなずいたのは、教員、学校という世界の特殊性について書かれた部分です。
私は比較的学校外の世界とつながっている方だと思います。そのためその特殊性を強く感じてきたわけですが、田野瀬さんのいいところは、それを決して悪いことだと決めつけないところだと思いました。
考えてみると、私はその特殊性を常にマイナス要因として語ってきたような気がします(自分もそれをまとっていながら)。
門外漢が学校のトップに立つと、だいたいがその特殊性をぶち壊そうして失敗するのですが、田野瀬さんはそうではありませんでした。
その特殊性をよく理解し、それを活かしながら組織を構成していった。その柔軟性こそ、このサクセスストーリーの中核にあるものでしょう。
そして、その柔軟性を支えているのは「志」。大志という高次元の光によって組織全体が照らされていると、その組織のそれぞれの個、すなわち生徒や先生も活性化するし、低次元の矛盾や衝突なども解消していくのだなあと、改めて感じましたね。
もちろん、内部的、細部的にはいろいろあって当たり前。この本が全てではないことは分かりますが、やはりこれだけの目に見える結果が出続けるということは、そうした「光」が消えないような努力が払われてきたのでしょうね。
ウチの学校にはウチの学校なりの「志」がありますし、同じ田舎の私学といっても、立地条件があまりに違いますので、西大和の真似をしようとしてもできない部分がたくさんあるでしょう。
しかし、それを「ウチとは違うから」といってしまってはダメですね(現場ではよくある)。西大和も初期はとにかく「真似」だったようです。謙虚に、しかし貪欲に先輩校の成功例に学ぶ。これはウチの学校に不足している部分だなあと思いました。
というわけで、私もさっそく真似できる部分を探して真似してみようと思います。得意のポジティブシンキングで我が校なりのサクセスストーリーをイメージしながら。とりあえず上司や同僚たちにこの本を読んでもらいましょう。
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