八紘一宇≠八紘為宇
三原じゅん子発言が物議を醸しております。
三原じゅん子さんは私と同い年。私の世代にとっての「八紘一宇」は、なかなか微妙な存在です。
それこそ三原じゅん子さんが3年B組だったころ、私は3年8組で、担任の先生が広島出身の左寄りの方だったものですから、「八紘一宇」はとんでもない悪い言葉であると教わりました。当時の三原さんも基本そんな感じの認識だったのでは。
その後、私たちの世代はだいたい再発見をします。つまり、大人になって、そうした左巻きな教育空間から解き放たれると、いきなり真逆の情報が入ってくるようになるわけですね。「八紘一宇」というのはいい言葉だと。
そんな再発見に基いて、三原じゅん子さんはブログでこのように解説しています。
だいたい再発見には「だまされていた」的な感情が伴うものでして、結果としてその再発見の情報を強く信じ、またそれを啓蒙しようとする意識が倍増するものです。
私も一時期そうでした。しかし、ここからが問題なのです。すなわち、再発見で終わるのか、それとも再々発見、再再再発見していけるかどうか。
再々発見は「自分にだまされていた」と思わなければならないので、けっこう大変な作業なんです。そこに踏み込んでいけるか。人のせいにできませんからね。自己否定しなければならない。
三原さんのブログを読むと、残念ながらそこまで行っていないような気がします。言っていることはある意味正しい部分もあるが、やはり全体としてのデザインが間違っている。
非常に基本的なことで言うなら、「八紘一宇」は御存知の通り、国柱会の田中智学の造語ですよね。神武天皇以来とか、日本書紀に云々というのは間違いです。
細かいことはお調べいただくとしてですね、日本書紀の神武天皇の言葉をもとに、より正確に四字熟語を作るとすれば、「八紘為宇」となるべきです。
そこに「一」という文字を挿入したのは、いかにも田中らしい。国柱会は日蓮主義。宮沢賢治がはまったカルトです。日蓮の主義主張は解釈によっては原理主義になりがちですよね。排他的、折伏的、絶対的、一神教的になる要素があります。
「一」という文字はくせものですね。私は「和」と「一」とは相容れないものだと思っています。
田中がどう考えていたかは別として、当時の軍部や政府の外交方針と、日蓮的なモノが合致してまった結果、「八紘一宇」は大東亜戦争の大義となってしまいました。
ちょっと想像力を膨らませば、神武天皇や日蓮の悲しい顔が目に浮かびます。
彼らの本来の意図、意識を忖度して、現代に復活させる意味はもちろん大いにありますが、それよりも近過去にどのように解釈され、意図され、意識されていたかの方を優先すべきなのは言うまでもありません。ましてや政治家ならば。
せめて、「八紘為宇」と言えばよかった。私はけっこう使いますよ、八紘為宇。私の理想でもあります。私は「和」を外国の方に説明する際、「global familism」という造語を使います。これはまさに「八紘為宇」なんですよ。一方で、八紘一宇という言葉は使わないようにしているわけです。
まあ、こういう形で「八紘一宇」が脚光を浴び、検索ワードのトップに来たりするのは、私の国譲り理論からすると、そういう時機を迎えているということでもあります。
たとえばこういうことがあると、学校でも「八紘一宇」の意味と価値を説明し、そこから「八紘為宇」まで話を展開できるじゃないですか。普段ぜったいそんな話できませんからね。
そういう意味では、三原じゅん子さんGJというになるかもしれませんね。
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