伊豆山神社とその祭神について
いろいろなお祝いが重なり、親族で熱海に来ております。
今日は初めて伊豆山神社を参拝。なかなか面白い神社ですね。
神社と言っても、かなり修験道、すなわち縄文系の山岳信仰や密教の匂いが強く感じられました。
感じたり、考えたりすること多々ありましたが、今日は主に祭神について書きたいと思います。
祭神の中心に坐すのは「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊」。伊豆神、伊豆の大神と呼ばれている神様です。
解説板によると「まさやあかつかつはやひあめのおしほみみのみこと」と訓み、次のような意味があるとのこと。
天忍穂耳命は記紀にも登場する神様です。分かりやすく言えば、アマテラスの長男であり、ニニギのお父さん。奥さんがヨロヅハタトヨアキツシヒメで、ここ伊豆山神社ではその奥さんと息子も祭神として祀られています。
私が興味を持つのは、出雲の国譲りと天孫降臨の神話におけるアメノオシホミミのポジションです。
アメノオシホミミは国譲りの際にはお母さんのアマテラスの命を受けいったん中つ国に下りますが、途中で引き返してきてしまいます。のちに代役のタケミナカタの活躍で国譲りが成ってから、再び降臨の命を受けますが、この大役もまた息子のニニギに譲ってしまいます。
なんとも、中途半端というか、人任せなところのある神様なんですね。しかし、名前には「勝」という文字が二度(古事記では三度)出てくる。面白いですよね。
ここで思い出すのは、この神名からとった「正勝」「吾勝」「勝速日」という言葉を、その奥義に据えた合気道開祖植芝盛平のことです。
ここ熱海、伊豆のあたりは、実は出口王仁三郎ともゆかりの深い土地です。そんな関係から世界救世教やら生長の家やら真光やらの聖地となっているのでしょうし、植芝盛平も伊豆山神社の祭神を重視したのでしょうね。
たしかにアメノオシホミミのふるまいは、「戦わずして勝つ」、あるいは「勝ちを譲る」というような感じがします。ずるいというよりは、ちょっとした賢さを感じさせますよね。
さらに「速日」という言葉も気になります。そう、「和魂(にぎみたま)」の象徴とも言える饒速日(ニギハヤヒ)や、タケミカヅチの祖とも言われる甕速日(ミカハヤヒ)にも共通する言葉です。
私たちはつい「速日」という漢字につられがちですけれども、私の考えでは「ハヤ」は「はゆ」、すなわち「生ゆ」「栄ゆ」「映ゆ」であり、分かりやすく言うと「お囃子」とか「囃し立てる」の「ハヤシ」の「ハヤ」と同じように「勢いづく」というような意味です。また、「ヒ」は「霊」であり、つまり「ハヤヒ」とは「生命力に満ち溢れる」という意味の言葉なのです。
アメノオシホミミの神話におけるポジションやふるまいには、私が最近提唱している「国譲り」という積極的な「負けて勝つ智恵」についてのヒントが感じられます。
かつて島だった伊豆半島が北上して日本列島に衝突し、その衝撃(摩擦熱)がいまだに残って、箱根や熱海などの温泉街や宗教的聖地、そして美しい景観を生み出しました。
そういう意味では「荒魂(あらみたま)」が鎮められて「和魂(にぎみたま)」が現出していると言ってよいでしょう。
そんな地にアメノオシホミミが静かに勝ち誇っている、静かに燃えているというのは、実に面白いことですね。
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