5弦ヴィオラ
5月30日土曜日に横浜の開港記念会館にて、恒例のコンサートを行います。
「バッハとテレマンの協奏曲」。今回もまたまた魅力的なプログラムです。こちらをご覧ください。
そうそうたるソリストの皆さんに囲まれて、このたびワタクシは恐れ多くもブランデンブルク協奏曲第6番のソロを担当させていただきます。
その際、使う楽器がこちらの5弦ヴィオラです。
実はこの2月の同団体のコンサートでもこの楽器を使いましたので、5月がデビュー戦ではありません。
ただ、2月の時は、「viola」という楽器指定のパートをこの楽器で弾いたので、ある意味邪道だったかもしれません。
今回のブラ6は、一般的には普通の「viola」で演奏しますが、実はバッハ自身の指定は「viola da braccio」なんですよね。あえてそう書いてある。
これは合奏隊にヴィオラ・ダ・ガンバが使われているので、それとの関係であえて「ブラッチョ」という言葉を付したのだと解釈されてきました。「足」に対して「肩」ということですね。
本当にそうなのでしょうか。バロック時代にあえて「viola da braccio」と言うというのは非常に珍しい。一般的にはもう少し前の時代、まだヴァイオリン属の楽器の形や調弦、演奏法が確立していない頃にあった多様な「ヴァイオリン風」な楽器のことを指しているようです。
ちなみに「viola da braccio」で画像検索すると、このようにになります。
どう見ても「普通の」ヴィオラはありませんよね。
そう考えると、この曲が普通のヴィオラで演奏されてきたこと自体、実は怪しいことになってきます。たまたま、現在のヴィオラでも演奏できる音域だからという理由だけで、誰も不審に思わなかったのか…。
いや、実は私と同じように疑った人もたくさんいます(当たり前です)。しかし、なかなか結論に至らなかった。もちろん、私も絶対的な結論を導けずにいます。
ただ、この曲を演奏したことがある方にはお分かりと思いますが、1stヴィオラのパートは、まあまあ音域が高く、また、普通のヴィオラでは効果的ではない音列があるのです。
たとえば、この部分です。
1段目の最後の小節からのパッセージ。いかにも「ブラッチョ」的な動きの部分です。ここの連続する「d」の音が開放弦だったらいいのになあ…と思うのは私だけではないでしょう。
これが「普通のヴィオラ」ではなくて、多弦の、たとえばヴィオラ・ダモーレのように6弦とか7弦とかだったら、最高弦が「d」ということも充分ありえます。
というわけで、今回は私は「普通のようで普通でないヴィオラ」で演奏することにしました。5弦のヴィオラ。下4弦は普通のヴィオラの調弦。最高弦(5弦目)が「d」です。
これで試しに弾いてみたら、なんかとってもいい響きになったんですよ。私は確信しましたね。これは間違いなく高い「d」線を持つ多弦ヴィオラで演奏されたに違いないと。
というわけで、その響きをお聴きになりたい方はぜひ会場においでください。もしかすると世界初、いやいやバッハの時代以来初めての試みかもしれませんよ。
ちなみにこの楽器、いつもお世話になっているバイオリンJPさんで購入しました。安いのにとてもいい作りの楽器です。
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