幽霊演奏家による絶品ヴィヴァルディ
幽霊がものすごい美人だったりすることってありますよね(笑)。幽霊にしておくにはもったいない。あるいは幽霊だからこそ謎めいていてさらに美しく感じられるとか。
音楽の世界にもそういうのがあるのをご存知ですか。いわゆる幽霊オーケストラや幽霊指揮者というやつです。
なんとなくそれらしい名前が付いているのだけれど、実はそういう団体や個人は実在しない。
ホームセンターで売られている廉価版CDとか、通販の1枚238円!とかいうCDセットには、実はこういう幽霊が「つきもの」です(笑)。
古楽界にはあんまり幽霊はいないんですけど、実はもう四半世紀も前から人々を魅了している謎のレコーディングがあるんです。
私も20代で初めて聴いたと思います。けっこう衝撃的でしたね。今でも幽霊の巣窟(?)であるドイツの面白レーベルPILZなどで手に入る「ヴィヴァルディ協奏曲集」。
だいたいが「アルベルト・リッツィオ指揮ムジチ・ディ・サンマルコ(オリジナル楽器使用)」のように書かれています(Musici di San Marco Conductor: Alberto Lizzio)。
リッツィオは知る人ぞ知る(?)幽霊指揮者ですが、古楽器の団体を指揮したのはこの録音だけのようです(笑)。
それにしても、この時代、これだけの演奏をする団体っていったい…けっこう昔から古楽界では謎とされてきました。
当時はやっていたイギリスやドイツの演奏とは違って、実に流麗であり、自由であり、大胆でした。その頃は幽霊演奏家だとは知りませんでしたから、ついにイタリアも古楽器をやり始めたか!と思ったものです(今ではイタリアの人間界も霊界に追いついた感じですね)。
この協奏曲集は本当に多彩なソロ楽器が出てくるのですが、そのいずれもがなかなか達者な演奏をしています。特に私が好きなのは、上掲のチェロ。もしかして5弦のチェロ・ピッコロでしょうか。
ヴィヴァルディのチェロ協奏曲は名曲が多いのですが、中でもこのRV415は全体に洗練された名曲です。あまり演奏されないので、これが最近まではほとんど唯一の古楽器による録音でした。
私は特に3楽章のフーガが好きですね。バッハがヴィヴァルディの協奏曲を学んだ理由がよく分かります。
この幽霊ペアによる別のヴィヴァルディを聴いてみましょうか。二つのヴァイオリンのための協奏曲。ソロ・ヴァイオリンもうまいですね。
次に有名なマンドリン協奏曲。
なんだかいろんな楽器が出てくるこれはこれでヴィヴァルディらしい迷曲(笑)。
というわけで、いったいこの幽霊たち誰なのでしょう。まさか本当の幽霊じゃないでしょうね(笑)。バロック時代のホンモノの演奏が現代に蘇ったとか。それはそれで興味深いですね(笑)。
いちおうAmazonでも買えますよ。おススメです。こちらはまたカメラータ・ロマーナ、ユージン・ドュヴィエ(指揮)という幽霊が出没してますが。
Amazon ヴィヴァルディ/協奏曲集
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