正しさは一つなのか
今日はこのドレスの画像がネット上に乱舞しましたね。
白と金なのか、青と黒なのか、意見が真っ二つに分かれました。ちなみに私は…白と金です。
よく昔から言われるように、「私が見ている赤は、他の人にも同じ赤に見えているのだろうか」という疑問に似ていますよね。
だいたい、私たち自身でさえ、右目と左目では微妙に色彩が違っていたりします。受光器としての眼の特性にもよりますし、そこからの情報を処理する脳ミソの特性にもよるのでしょう。
そして、私たちは経験的にそれらに境界線を引き、白とか金とか青とか黒とかネーミングをしています。
つまり、いくつもの関門というかフィルターを通したところで(言語)で議論しているわけですよね。
今回のドレスの一件は、そういう意味で非常に象徴的です。
私たちが誰かと意見が合わなくなって、時にケンカしてしまったり、戦争になってしまったりするのは、そうした言語によるすれ違いがほとんどです。すなわち、非常に恣意的なフィルターを何枚通したところで互いを認識したところでコトが起きているわけです。
よく「話せば分かる」とか「コミュニケーションしよう」とか「異文化を理解しよう」とか簡単に言いますが、結果として望んだものと逆になってしまうことの方が多かったりします。
極論すれば、言葉は人と人を結ぶのではなく、断絶するものなのです。
しかし、一方で、そのような多様な認識や価値観があるのが自然であって、逆にこれは絶対に白と金だ、いや青と黒だと決めつけるのもよくありません。世界中の人全員がこれは◯◯だと言ったら、それはそれで怖いですよね。
もちろん「正義」というのもそうです。「正義」という言葉自体に「正」が入っている時点でダメです。どちらかというと「義」の方が人間にとっては普遍性があるかもしれません。しかし、その「義」さえも言語化するのは難しいし、もちろん人に押し付けるのはよくありません。
極端な話、このたび、「白金派」と「青黒派」がお互いを認めず、殺し合いをするとするなら、それは立派な戦争になってしまいます。聖戦(ジハード)ですよね。
だから、私はずっと「コトよりモノの時代」と、人と逆のことを言ってきたわけです。コトは自分の脳ミソの中で処理された情報に過ぎません。モノはそれ以外、すなわちコトの補集合全体です。
日本語の「もの」がそういう意味で使われてきたということについては、このブログでも何度も書いてきました。
「もののあはれ」もそう、「もの悲しい」もそう、「物思い」もそう、「〜なんだもの(もん)」もそう、「もののけ」もそう、「ものいみ」もそう、「大物主」もそう、「ものまね」もそう…いくらでも挙げられます。
おそらくお釈迦様もそうした「コト」への執着を捨てよと言ったのでしょうね。
今日はこのドレスを見ながら、そんなコトを思いました。あくまで個人的な感想です(笑)。
ところで、皆さんはこのドレス、何色に見えますか?
いちおう答えはあるようで、その製品そのものは「青と黒」だそうです。
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