「寒川」の謎(その1)
今日は横浜のゲーテ座にてバッハの世俗カンタータを演奏してきました。解説の朝岡聡さん、歌手の皆さんの素晴らしいパフォーマンスのおかげで、演奏している側も本番が一番楽しめました。
その雰囲気がお客様にも伝わったのか、大変喜んでいただけたようです。ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。
また、私のような者を演奏者に加えていただき、大変恐縮です。本当にありがたいことです。
さて、コンサートの話はここまでにして、行き帰りの車の中で考えたことを備忘として書き残しておきます。
今回、横浜に行くにあたって、初めて中央道→圏央道→東名高速というルートを使いました。ここ富士北麓からは、今まで御殿場回りで一般道も使いながら行っていたのですが、とうとうほとんど全て高速道路で横浜まで行けるようになりました。
距離としては7キロほど遠回りになり、河口湖インターから横浜町田インターまで70分ということで、それほど時間短縮にはならないけれども、快適性はずいぶん向上したと思います。
で、今回初めてそのルートで走ってみて気づいたのは、このコースが「桂川→相模川」沿いに走っているということです。
相模川(桂川)は山中湖を水源とし、その後忍野、富士吉田、都留、大月、上野原などを通って、相模湖、津久井湖、そして相模原、厚木を南下して相模湾に注ぎます。
つまり、富士山の雪解け水が北側を迂回して太平洋まで流れるという、ちょっと珍しい川なんですよね。
で、ワタクシとしてはですね、「寒川」という言葉がひっかかるわけです。そう、もうすぐ圏央道も「寒川北」まで伸びますよね。今日も帰りに寒川神社に立ち寄りました。
寒川神社…言うまでもなく相模国一宮です。しかし、その存在は謎に満ちています。だいいち、祭神である「寒川比古命・寒川比女命」の素性が分かっていない。記紀に出てこないし、他の神社で両神を祀っているところがほとんどない。
実は富士吉田市にはあるんです。下吉田の福地八幡神社です。この神社はもともと明見の地にあったものとされており、かつては寒川大明神と呼ばれていました。
富士北麓の寒川大明神と相模の寒川神社の関係は実に謎に満ちています。例の宮下文書にも「寒川」はたくさん出てきます。といいますか、相模の寒川神社は里宮で、その大元たる山宮はかつての明見の寒川大明神であったとさえ書かれているんです。
宮下文書の保存史にとっても相模の寒川神社は重要な役割を果たしています。そのへんは、『富士王朝の謎と宮下文書』をご覧くださいませ。
ちなみに、本家寒川神社でも「不明」とされている「寒川比古・比女」ですが、宮下文書にははっきりその系譜が記されています。
「寒川彦(宮下文書ではこのような表記)」はツキヨミの息子、「寒川姫」はスサノヲの娘ということになっているんですね。たしかに非常に重要な存在です。もしかすると、記紀はアマテラスの権威を持ち上げるために、寒川両神を幽閉したのかもしれません。というか、宮下文書が大和朝廷に反抗的なんですよね(笑)。その勢力が相模川に沿って相模の国まで及んでいたということでしょう。
ところで、「相模(さがみ)」という国名の由来も不明とされていますけれど、私の読みとしては、「相模」と「寒川」は関係していると思います。
というのは、「さがみ」は「さがむ」と表記されている場合もあって、すなわち「さが」が語根であると想像されるわけです。そして、古い日本語の発音として(分かりやすく書くと)「シャングヮ(さんが)」と「シャムクヮハ(さむかは)」は非常に近いと言えます。
ちなみに吾妻鏡には、寒川神社が「佐河大明神」と表現されています。まさに「さが」ですね。
そのへんを今後しっかり調べあげていくつもりです。幽閉された神の復権の時代が来ているのです。
そう言えば、以前御来光の道〜レイライン〜という記事にも書きましたとおり、相模の寒川神社は富士山の真東にあります。すわなち、春分、秋分の日には、寒川神社から富士山に沈む太陽を見ることができるというわけです。これにも当然特別な意味があると思います。
実に面白いですね。
Amazon 日本の聖地文化: 寒川神社と相模国の古社
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