『イスラーム国の衝撃』 池内恵 (文春新書)
節分。鬼を退治するだけでいいのか?…という話はこちらをお読みください。
イスラム国もしかり。アメリカ的な正義感で殲滅すればいいというものでは、もちろん、ない。
かといって、単純にイスラム国にシンパシーを抱いたり、あるいはアメリカが悪い、ユダヤが悪いというような陰謀論的発想になってもまずい。
あるいは、左翼の残党が意識的、無意識的にそこに乗っかるのもダメ。あたりまえです。
しかし、ある意味、今の日本では、そういった極論というか、勝手な物語を作ってしまう人が多い。敵対国の内部分裂も彼らのシナリオの一部です。
やはり、ちゃんと勉強しないと…という意味では、この本は必読でしょう。
見事なタイミングで発売されましたね。もちろん、日本人の人質問題が表面化する前に書かれたものですが、池内さん、ある程度想定していたのではないでしょうか。
それほどに、この本の内容は現状を納得させるに充分です。最低、これを読んでから、いろいろ論議したいですね。
ちなみに未来学大好きな私が最も気になったのは、現在の進行が見事に彼らのシナリオ(物語)どおりということです。日本もそこに仕組まれていたのだなと。
「グローバル・ジハード」
( )内はそのシナリオどおりに起きてしまった(誘導された)ことです。
2000〜2003 目覚め (2001 9.11同時テロ)
2003〜2006 開眼 (若者のジハード参加)
2007〜2010 立ち上がり (治安の乱れ)
2010〜2013 復活と権力奪取と変革 (2011アラブの春)
2013〜2016 カリフ制国家の宣言 (2013イスラム国)
2016〜2020 全面対決
2020 最終勝利…世界のカリフ制イスラム国化
おいおい、2020年なのか!東京オリンピックどころの騒ぎじゃないですね。いやいや、東京オリンピックを無事開催しなければ。
つまり、日本は別のシナリオ(物語)を作らねばならないということです。それも単なる対抗ではなく。
宗教的な意味でも、また政治経済、科学技術的な意味でも、それができるのは日本だけであると、真剣に思います。
私の頭の中にも、いろいろ具体的なことが浮かんでいるのですが、それよりなにより、やはりこういう時こそ、イスラム、中東の専門家でもあった天才仲小路彰の言葉を復活させたいと思っています。
ちなみに現代のイスラム研究家の系譜はほとんど(潜在的にですが)仲小路彰から出ています。
参考 『現代アラブの社会思想〜終末論とイスラーム主義』 池内恵
Amazon イスラーム国の衝撃
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コメント
この本読み始めたばかりです!別の本(内容は同じようなもの)を買う予定が見つからず、たまたまこちらが目についたのでこちらを購入したのでした。
投稿: A.I | 2015.02.06 18:23