『資本主義の終焉と歴史の危機』 水野和夫 (集英社新書)
ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、元日のNHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像」でタモリさんがいろいろ面白い発言をなさっていましたね。
特に最後、「どでかいことをぶちかましていいですか?」と前置きして「資本主義が行き詰まっている。でも共産主義もだめ。資本主義に手を加えてより良いものを作らねばならない。それができるのは日本」という言葉には、思わず大きくうなづいてしまいました。
さらには「ボランティアに興味がある」という言葉も挟まれていましたから、さすが鋭いなと思いました。私がこのブログで何度か書いている、福祉経済、仏教経済、家族経済というのがそれに当たるのではないでしょうか。
資本主義は蒐集の原理のための錬金術みたいなものです。完全に実現不可能な永久機関です。
私も日本こそが新しい経済システムの先導者であると信じる者です。本当の意味での「グローバリズム(地球家族主義)」を実現できる国民であると思っています。
この私の「勘」はあくまでも「勘」であって、なんら論理性はありません。だから説得力もほとんどないわけですが、この本はそんな私の「勘」を理論的に補強してくれる良書であったと思います。
低金利、ゼロ金利、デフレは資本主義の卒業証書…面白い発想ですね。まあたしかに錬金術が働かなくなり、永久機関のまやかしも露見しつつあるということは、たしかに資本主義の終焉を象徴していると言えましょう。
私も基本それと同じ考え方であり、たとえばアベノミクスについても完全に賛成はしていない立場をとっています。
ただ、ここでまた「勘」を披露するとすれば、このアベノミクスは未来的には非常に意味のあるものだと思います。ある意味、資本主義の最後のあがきのような政策であるアベノミクスが、まさに資本主義という恒星の最後の爆発的輝きを現出するかもしれないからです。
恒星の最後の爆発とは、そう「超新星爆発」です。新しい星を生むための「荒魂」の発現です。
いや、それ以前に、日本は「相対的」に経済的な勝ち組になるでしょう。ほとんど唯一の勝ち組です。というのは、今年あたりから、アメリカ、ヨーロッパ、中国を中心として、さらなる資本主義の末期的症状が現れると予感しているからです。
そうなりますと、結局、戦後日本人が蓄えてきた実際のお金、そして技術、精神性が大きな価値を持つようになるのです。
今、アベノミクスの恩恵はなかなか地方まで波及してこないというのが実情ですが、それでも現状維持ができていることにも「有り難み」を感じるほどに、世界経済の情勢は急変することでしょう。
結果としてアベノミクスのおかげであったという感覚が残ると予想します。皮肉なことですが、そのあたりもある意味神がかった、国としての「勘」が働いたということになりそうです。
そうしますと、アベノミクス推進派も反対派も、なんとなく「自分が正しかった」で現状は通過することになります。そして、みんなで未来の新しい経済的パラダイムの構築に向かえるということになる。
なんだかずいぶん楽観的な未来予測ですが、おそらくそれほど大きくはずれないと思いますよ。
さあ、タモリさんとワタクシの「勘」は当たりますでしょうか(笑)。
Amazon 資本主義の終焉と歴史の危機
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