『憲法対論-転換期を生きぬく力』 奥平康弘・宮台真司 (平凡社新書)
「九条の会」呼びかけ人の一人であり、日本を代表する憲法学者であった奥平康弘さんがお亡くなりになりました。ショックです。
昨年の今ごろでしたか、憲法記念日でしたね、山梨に講演にいらしたのですが、どうしてもその日は用事があって行けなかったんですよねえ。今思えば…。
奥平先生の本はけっこう読んできたと思います。最初に出会ったのは、大学の「憲法学」。奥平先生のご著書がテキストでした。
今考えると、私はそういう大学に通っていたわけですが、まあ、そんなことは抜きに先生の憲法論には「人間」を感じてひかれました。
もちろん、私は単純な護憲派ではないですし、9条の会の会合には行きたくてもなぜか呼んでもらえない人間です(笑)。しかし、奥平先生の奥底に潜む、この本でいうところの「パトリオティズム」には感覚的に共鳴していました。
私の「日本国憲法」に関する立場は、このブログでもちょっと小出しにしてきました。なかなか理解していただけないのですが、まあ、護憲派、改憲派双方から呼ばれないのは事実ですね(笑)。
「憲法リテラシー」、宮台さんのこの言葉は、この本が出版されてから13年経った今、ますます重要性を帯びていると思います。
ここのところの中東での事件も含めて、第3次安倍政権において、この「憲法リテラシー」はより一層、私たち国民に要求されてくることでしょう。
昨日の記事の「グーミン」ほど下品な言葉ではありませんけれども、この本には「田吾作」という民度低い庶民を指す言葉が何度も出てきます。日本の近代とはまさに「田吾作による天皇利用」だったのでしょうか。
もちろん、奥平さんと宮台さんでは、その思想体系や経験的な基礎があまりに違いますから、「天皇」に対する思い入れも全く違うと思います。
ただ、かなり熱い、いや厚い、いや篤い「天皇への思い」があることはたしかです。ま、私もそうでなければ、お二人のお話なんか聞く耳持たないと思いますよ。
そのへんの微妙な一致と、また不一致がこの本の面白さでしょう。
やたらしゃべりまくる宮台さんと、それをウンウンと聞いてあげる奥平さん。そして、全体の90%が過ぎたあたりでようやく訥々とまとまった話を始める奥平さん。
これぞ「国譲り」理論とも言うべき展開で、奥平さんの勝ち(笑)。奥平さんは宮台さんのお父様と同い年だそうです。まさに親子の「戦後史」の違いを感じさせるような対談ですね。
途中まではなんだか、宮台教祖に対する奥平さんの霊言集のような感じで、こりゃ困ったなと思いましたけれど、結果としてはものすごくスッキリしました。
やはり、日本国憲法は「人間」が作ったものなのだなと。アメリカ人であろうと日本人であろうと。地球人の一つの挑戦なのでしょう。日本だからこそ日本人だからこそ、与えられた試練。まさに「九(仏教的「苦」)」条ですね。
蛇足になりますが、本家の大川隆法さんが近く「奥平康弘の霊言」を出しそうだなあ。「いやあ、本当は9条は改正すべきだと思っているのです」って(苦笑)。
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