『鉄塔 武蔵野線』 (長尾直樹監督・伊藤淳史主演作品)
今日は渋い映画を一本紹介します。
銀林みのる原作。少年の夏休み。友だち。転校。自然と人工。現実と夢。大人への道程。
非常に日本的な映画だと思います。私も撮りそうなシャシンです(笑)。
今となってはなんとも象徴的なラストではないですか。ゴール、すなわち少年の憧れは原子力発電所。しかし、待っていたのは…。
まさに「もののあはれ(不如意・不随意の美学)」。日本では、大人になるということはそういうことだとずっと説明されてきました。それを受け入れた時、私たちは大人になると。
しかし、どうしてでしょうね。この映画の主人公は「大人になってしまった」感がないんですよね。
だからこそ爽やかであるとも言える。決してジメジメしていない。
私自身が大人になっていないからでしょうかね(笑)。
それにしても伊藤淳史くん、いい味出していますね。この作品が実質上のデビュー作だと思います。私も小学生時代を東京で過ごしましたので、なんとなくあの夏の感じ(光や音、そしてなぜかにおいなども)含めて、彼に思いっきり感情移入してしまいました。
あの時代の映画のはやりとも言えますが、セリフが少ないだけに、その「感情移入」が重要になります。だから人によっては退屈なロードムービーになってしまうのかもしれません。
原作も昔読みましたが、私としては映画の方が、その「感情移入」できました。
きっと、私の少年時代が、小説よりも映画だったんでしょうね。そう、私にとっては、少年時代はロードムービーそのもの。毎日が自転車での冒険旅行の日々でした。
私が自称他称ともに「中二病」なのは、きっと今でもバカみたいに冒険旅行しているからなのでしょうね(笑)。
ゴールが想定外、期待はずれだからこそ続くムービー。人生はそうあってほしいです。
原発ということで言うと、私の目指すゴールは「理想の原発」です。単純な反原発ではありません。そういう意味でも私は大人になりきっていないのでしょうね。
もう自転車では旅できませんが、軽自動車で日本中回ってみたいですね。とりあえずの予定は「御来光の道〜レイライン〜」をたどる旅です。
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