にっぽん紀行「旅立ちの親子相撲~沖縄 北大東島~」 (NHK)
偶然観た番組に涙…。
これぞ相撲の本義。荒魂の正しい祀り方ですね。
ご覧になっていない方のためにNHKのホームページから概要を。
沖縄県北大東島。高校のない島では、島を巣立つ中学3年生の親子が秋祭りで「沖縄相撲」をとるのが恒例になっている。別れを前にした親子の相撲対決までの日々を見つめる。
人口550人あまりの北大東島には高校がなく、子ども達は中学卒業後、故郷を巣立っていく。島の秋祭りでは毎年、中学3年生の親子が島民の前で「沖縄相撲」をとる。親は子の成長を受け止め、子は親の大きさを再確認する。親たちは別れが寂しい一方で、島の経済的な厳しさも日々実感している。「帰って来ないつもりで出ていけ」。言葉にはなかなかできない思いを抱いた両者が土俵上でぶつかり合うまでの日々を見つめる。
父親と息子は沖縄角力(シマ)で勝負し、母と娘は腕相撲で戦います。
沖縄角力は本土の相撲とはかなり違っています。私の目から見ると、相撲と柔道とレスリングが融合したような感じでしょうか。
土俵はなく、柔道着のような服を着て、お互いに帯をつかんだ、いわば四つに組んだ状態から戦います。打撃は禁じ手。相手の背中を地面にしっかりつけると勝ち。三本勝負二本先取。
そんな独特の角力を通じて、親子が絆を確かめ合う。そう、荒々しい動物界での親子の別離を思わせますね。まさに原始的な「智恵」がそこにあると感じました。言語を超えたコミュニケーション。
映画大好きの下の娘と「これは映画化できるね」と話しました。日本人の魂を揺さぶるモノが沖縄にあるということですね。
日本の格闘技やその他の競技は、こうした人間ドラマが必ず内在していたものでした。近代西洋スポーツとは明らかに違った機能があったはずです。
私はそういう意味でプロレスが好きですし、プロレスを神事と言ってはばからないのですが、おそらくはこうして日本各地にはいまだに原始的な荒魂の祭が残っていることでしょう。
そう言えば、最近も親子プロレスラーが何組かいて、実際に戦ったりしてますね。こういうジャンルってプロレスくらいじゃないですか。還暦過ぎた父親レスラーが息子に勝っちゃったりするのは。
今日のこの番組でも、父親に勝ってしまった息子が、「まだまだ父ちゃんにはかなわない」というようなことを言っていました。まさに勝ち負けだけではない世界。負けて勝つ、勝って負ける。
私は、二元論ではないそういう世界が好きですね。
また、親子だけでなく、師弟の関係もこんなふうにあってほしいと思います。
この番組、ぜひ再放送で観てもらいたいと思ったら、どういうわけか5時間後にもう放送されてしまいました。残念。
いつか改めて再放送されることを望みます。
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