『DARK HORIZON おとなになったら使うかも知れない基礎英語』 ブライアン・レイス (TWJ BOOKS)
昨日もちょっとした英語の豆知識みたいなことを書きました。
学校で習う英語は、まあ使えると言えば使えますが(特に中学英語)、大学入試レベルの受験英語は、私にとってはあんまり有用ではありませんでした。
中学英語にしても、私の世代は「これはペンです」的な、今となっては笑える内容ばかりでしたけれども、最近の教科書はそれなりに工夫され、より実用的になっているように感じます。
それでも、やはり学校英語は学校英語。学校ならではのある種の道徳性の縛りというのがあって、どうしてもマジメになりがちですよね。
しかし、一方でほとんどの日本人がそこをマジメに通過してきていることの面白さというのもあって、日本人共通のネタという意味では、たとえば、英語の「NEW HORIZON」なんかも、光村の国語と並んでその最たるものでしょう。
そんな「NEW HORIZON」を思いっきりおちょくりつつ、学校英語へのアンチテーゼを見事に非実用的なギャグに仕立ててしまったのがこの1冊。
これは久々に笑いました。こういう不真面目なマジメ大好きですねえ。
こういうのを「やりすぎだ」とか「不道徳だ」とか言うお方もいらっしゃいますが…私はもともと学校の勉強というのはほとんどギャグだと思っているので(失礼)、けっこうツボにはまってしまいました。
なにしろ、あのまじめな教科書の登場人物たちの「落ちっぷり」がハンパない。売春婦になったり、オカマになったり、ホームレスになったり、オタクになったり…まあ、人生そんなものですよ(そんなことないか)。
いや、実際、学校の先生なんかやってますとね、ある種の真理を感得せざるを得ないんですよ。
つまり、優等生ほど落ちやすい、ということ。逆に言えば、問題児ほど社会に出て活躍したりするという。
これって、自分たちの「センセイ」という仕事の否定というか、失敗を認めていることになるわけですが、それもまた真実ですよね。
だいたい学校のセンセイほど世間知らずの井の中の蛙はいませんから。私だって、幼稚園時代からずっと「学校」にいて「社会に出たことがない」わけですから(苦笑)。
私なんかまだそういう意識を持って公言しまくり、なるべく社会の方々とお付き合いしようと努力している(?)からいい方でしょう(そうでもないか)。
ま、そういう意味において、この本におけるセンセイ方の転落ぶりもなかなかリアルですよ(笑)。グリーン先生なんか、ホステス、うつ病、自殺未遂、精神病院、教え子を脅してホステスをさせる…てな具合ですから(笑)。
それにしても、これ、東京書籍さんからクレームつかないのでしょうか。東京書籍さん自体、けっこう自由な会社だと認識してますが…いや、けっこう笑ってるんじゃないでしょうか。やられた!って。そういうユーモアセンスも必要ですよ。
単に売れているのか、それとも何か面倒な事情でもあったのか、ネットで手に入りにくい状況にありましたが、地元の本屋さんに普通にありました(笑)。
隣の英語の女性の先生に恐る恐る見せたら、めっちゃハマってました(笑)。
ちなみに彼女によると、この登場人物たちはちょっと前の「NEW HORIZON」のそれらしく、最新の、すなわち今の生徒たちが持っている教科書とは違うとのこと。もちろん、この本は大人が読むものですから、それでいいわけです。
いやはや、楽しい「大人の教科書」です。この冬休みは久しぶりに英語の勉強しているワタクシでありました(笑)。
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