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2014.10.17

『水はなんにも知らないよ』 左巻健男 (ディスカヴァー携書)

Th__20141019_85555 「からの伝言」の江本勝さんがお亡くなりになりました。とても楽しい方でした。なんとなく寂しくなってしまいますね。
 最初にお会いしたのは5年くらい前でしょうか。ある会である方とお話しているところにヌーっと乱入してきました。このおっちゃんおもろいなあと思ったら、「江本勝さんだよ」と教えられびっくりしたのを思い出します。
 昨日付の記事でちょうど耀わんのお水の話を書きました。平和への祈り、王仁三郎の言霊が水を通じてシリア本国へ伝わってほしい…。
 もちろん私は「科学的」な意味をそこに見出しているわけではありません。かと言って「宗教的」な意味でもありません。
 「科学」と「宗教」を対立的にとらえるつもりもありませんし、どちらが正しいとかにもこだわりません。
 ですから、私は江本さんの「水の物語(ポエム)」に対しても、それほど抵抗はありませんでした。
 しかし一方では、この本の著者の左巻さんのような科学的な視点も忘れていないつもりです。もともと理科の教員になりたかった私ですから、この本で指摘されているような教育へのニセ科学の侵入には、人一倍敏感でもあります。
 このブログの読者の皆さんの中には、山口のような考え方、あるいは人脈を持った人間が教師をやっているのは危険だと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、ある意味では心配ご無用。ここに書いているような話は、教室ではほとんどしません。あえてしないというよりは、する必要がないと思うからです。
 ウチの学校は私学ですし、禅宗のお寺を母体としていますから、ある程度の宗教教育、つまりは「非科学的」な話もできる環境ですけれども、まずは「科学的」な思考、「論理的」な思考、そしてリテラシーを身につけることが大切と思っています。
 その上で、これだけでは世の中生きていけないよ、もっと深淵なる世界があるよ、ということだけは伝えます。それは大人になりながら自分で追究しなさいと。
 ですから、この本で批判されているTOSSについても左巻さんに同意します。というか、何度か書いてきたように、私のTOSSに対する嫌悪感は、向山洋一に対する少年期の私怨によるものなので(笑)、しょうがないですね。そう、私にとってはTOSSこそが科学を装った宗教に見えてなりません。
 しかし、最近の私にとっては、「科学」も「宗教」も「思想」も「商売」も「政治」も、みんな比喩(物語)にしか見えません。その向こう側にある「本質」へのアプローチの方法の違いにしか感じられないのです。
 一番いけないのは、それぞれの方法において、筋が通っていないことでしょう。
 私の尊敬する知り合いの科学者や教育者や事業家や政治家たちは、皆その点をよく理解しているというか、自然体として持っている。だからそれぞれの専門分野で筋を通しながら、実は自分の専門以外の存在をも理解し尊重している。
 そういう意味で、私も「水」にはいろいろなことを学んでいます。水はなんでも知っているとも言えるし、なんにも知らないよとも言える。それでいいと思います。逃げではなく本気でそう思っています。
 江本さんのご冥福をお祈りいたします。

Amazon 水はなんにも知らないよ


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