『BUMP OF CHICKEN クリエイターたちとの創造』 (NHK)
NHKによるBUMP特番。ある意味NHKらしくBUMPだけでなく、その周辺のクリエイターにも焦点を当てた番組でした。
BUMPのWILLPOLISツアーについてはこちらに感想など書きました。そうそう、その記事でオーディエンスの「1拍目、3拍目」という「表打ち」について苦言を呈しましたが、JAPANの10月号のインタビューで、藤原くんがそのことについて語っていましたね。感覚を共有できてちょっと嬉しかった(笑)。
さて、そのツアーのエンディングにあたるとも言える彼ら初の東京ドーム公演。私は行けませんでしたが、しっかり参戦した姉から感動の様子を伝え聞いておりました。
その舞台裏を紹介した番組…いや、けっこう舞台表?も充実していましたね。フルで放映された曲がいくつかありましたし。
それにしてもBUMPは本当に大きくなったなあと思いました。それは感動であるとともに、ある意味大きくなりすぎたのかもなあとも感じました。
亀田音楽専門学校で校長が「J-POPは総合芸術」と言っていましたが、そういう音楽の総合デパート的な意味を超えて、総合アートとしてのBUMP OF CHICKEN。
藤原基央という天才とそれを支える普通の3人(失礼…いや、実はここが大切)という絶妙のバランスが醸す魅力が、我々凡人一般人はもちろん、多くの天才アーティストたちの心を引きつけてきたというのは事実です。
そう、今回の番組で再確認したのは、藤原基央という「神」に集う人間(凡人から天才まで)たちが、皆幸せになって、そしてやる気になっているということです。
これは私の勝手な考えかもしれませんが、私たちはもちろん、バンドのメンバーもクリエイターたちも、みんな藤くんのファンであり信奉者であって、彼の「愛」のもとにあると、皆いい人になってしまい、また純粋にやる気になってしまうのではないか…そんなふうに見えたんですね。
実際クリエイターの方々は、BUMPをビジネスパートナーやコラボレイターではなく、大好きなバンドとして見ている、感じているようでした。いちファンとして、自分たちがもらった感動や勇気や幸福感に対して、彼らに何を返せるか、それが仕事ぶりに表れていたように思いました。あるいは単純に協働できるミーハー的な気持ち(笑)。
それほどに藤原くんの才能と魅力というのは特異なものなのでしょう。理屈を超えた、あるいは極論すれば音楽や言葉さえも超えしてしまう、彼の「神性」のなせる業と言えます。
そういう意味で私は、BUMPを取り囲む「場」にある種の宗教性を感じざるを得ません。そしてそこに一つの危惧の生まれるのも事実です。
というのは、そうした「神性」を中心とする人間界の集合には必ず対抗勢力が現れるのと、また内側においても焦点がぼけていくという必然があるからです。
静岡公演の記事にも少し書いたように、彼らの…というより、彼らを取り巻く人たちの飽くなき挑戦が、もしかすると彼らの「音楽」「言葉」の根源を希釈してしまうようにも思えるのです。
今回の東京ドームはそういう「凝縮」と「拡散」の一つの極点だったのではないでしょうか。
よく、武道館や東京ドームという大目標を達成したあとが難しいと言われますが、BUMPにとっては特にここからが難しくなるように予感します。
個人的にはミクとの共演はとても嬉しかった。生き神がネ申と共演したわけですからね(笑)。さて次はどうしようか。
よくあるように「原点」「根源」に戻るのか。それともさらに外に開くという奇跡を起こすのか。これからの彼らの生き様に注目です。
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コメント
初めてコメントさせていただきます。
BUMP OF CHICKENが好きで、以前何かの折にこのブログのギルドに纏わる記事を見つけ、それ以来時々拝読しておりました 笑
BUMP以外のテーマの記事も興味深く読ませて頂いております。
コメントに綴りたいことが、過去の記事も含めて色々あり、何を優先しようか困ってしまいましたが、この記事については、藤原さんのカリスマ性とか、神性について言及された部分になるほどなあと思いました。
そこが人を魅了するところでもあるのでしょうし、そこに人が集まることによる彼らの作品への作用がプラスのほうに強く働くと良いのですが、難しいですね…
投稿: かむ | 2014.10.12 23:03