テレマン 『フルート・ヴァイオリン・チェロの為の協奏曲イ長調』
今日は誘われていた東京のあるオーケストラの練習に初参加。
行ってみると知り合いも多く、指揮者もお世話になっているチェンバリストの方なので、いわゆる「言葉」が共通していて楽しく演奏することができました(シューベルトはほとんど経験がないため、皆さんにご迷惑をおかけしましたが)。
今回ヴィオラを演奏させていただく中で、個人的に特にうれしく楽しかったのはテレマンの協奏曲です。
この曲に出会ったのは中学3年の時。それ以来35年。ようやく演奏の機会を得ました。ずっとやりたかったのですよ。高校の時など楽譜を探しに静岡からわざわざ東京まで行ったりしました(結局なかった)。
この曲はすごいと思いますよ。数千曲に及ぶテレマン作品の中でもベスト・ワークの一つと言っていいでしょう。
テレマンやヴィヴァルディのような多作家には正直駄作も多い。気合いが入っているか入っていないかの差が大きい(笑)。
気合いの入っている曲は内声部がよく出来ています。それはヴィオラ・パートを弾いてみるとよく分かるんです。たとえばこのテレマンのコンチェルトのヴィオラなんか、とってもよく出来ている。単純に見えて、実はたくさんのアイデアに満ちている。それを読み取って演奏するのが楽しいのです。
今日はハイドンも弾きましたが、ハイドンなんかだと、ただ和声の穴埋めとチェロ・パートのオクターヴ上を弾くくらいの役割しか与えられていない。あんまり面白くないんですよね。
それがテレマン(やバッハ)だと、実に存在感のある音を任されるわけですね。全体を聴いている人にとっては、たとえばこのコンチェルトですと、華やかなソロたちの動きや、1stヴァイオリンが奏でる魅力的(エキセントリック)なテーマなどに耳が行きがちでしょうけれども、弾いている方としては、ヴィオラのパートは本当に生き生き感じられるのです。
そういう魅力を感じながら楽しく弾くと、それがアンサンブル全体に影響を及ぼし、そして、聴いている方の無意識の部分に積極的に訴えることができるわけです。
まあ、それにしてもですね、本当によく出来た曲ですよ。当時としては異様など長いですし(上の演奏は短いヴァージョンを採用)。古典派の到来を予感させるようなモダニズムに満ちあふれています。
やはりテレマンの音楽史における貢献度は非常に高い。ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、そして東欧に至るまで、ヨーロッパ圏のバロック音楽、民族音楽を見事に統合、昇華していますよね。また、楽器の可能性の追求という意味においても画期的なチャレンジをしています。
中3の私は理屈ではなく感覚的にこの曲が好きだったわけですが、こうして300年後の日本の中学生をも魅了する音楽を創ったテレマンは「すごい!」ということが分かりますね。
本番は2月11日です。また告知いたします。ぜひ、この名曲を生でお聴きいただきたい。特にヴィオラ・パート(笑)。
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