「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の意味
今日は広島原爆忌。
「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」…過ちを繰り返さないのは、まずはアメリカであってほしいのはもちろんですが、しかし、一人の地球市民としては、この言葉を素直に共有したいと思います。
かえすがえすも日本人の精神性は次元が高いと思います。原爆を落とされた側にも関わらず、落とした側の立場にも立った上で慰霊を行う。
それは単なる自虐史観のなせるわざではありません。罪人の罪を赦す、汝の敵を愛す…まさにアメリカが目指したピューリタンの精神は日本に開花していたのです。というか、もともとあった。
そういう意味では、アメリカは原爆投下によって「原罪」を抱えたことになります。そこが歴史の本質であると、私は考えています。
パール判事でさえ、上記の碑文に疑義を感じたそうですが、おそらくそれは英語に訳した時に主語を「We」としたからでしょう。しかし、日本人(日本語)における無意識の「We」はもっと高い次元なのです。
そこを日本人自体が忘れて、右の人は「なんで被害者である日本人が反省しなくちゃならんのか!」と怒りだすし、左の人は「日本が悪い子だったからおしおきされたんだ」と子どもたちに語ってしまう。
そのことの方が大きな問題であり、亡くなった多くの御霊に対して失礼なことであると思います。それは靖國に関する論議にも言えますね。
何事も「言葉」や「(歴史という)解釈」(コト)にとらわれすぎてはいけません。コトは全て比喩なのです。その向こう側の本質(モノ)に気づくことが大切です。
言葉や解釈は過去に対する「今」の視点からのレッテル貼りです。そこにこだわり、常に後ろ向きに生きることは実につまらないことです。
しかし、日本語には「言霊」という、実に面白い性質があります。これは、一般的には過去に対するレッテル貼りであるはずの「言葉」が、未来に対してもある種のレッテル貼りができるという性質です。
そういう性質、機能があるのは日本語だけとは申しませんが、しかし、日本人はたしかに日本語のそちら側の力を大切にしてきました。
だからこそ、過去の恨みつらみにこだわることなく、過去の敵さえも愛することができるとも言えるでしょう(どこかの国が石碑を建てたら、「私たちは絶対許しません!」という言葉を刻むに違いない)。
そういう意味では、「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」という言葉は、非常に未来的であり、また地球的であるわけです。
そのように考えることが本当の慰霊になると、日本人であり地球人である(最近は宇宙人ともよく言われますが)私は思うのであります。
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コメント
はじめまして。
この言葉を「自虐」だと捉える方は、少なからずいるようですが、
自分はこの言葉を初めて聞いた時から、
英訳した場合のweは人類を指しているのだと考えています。
核による悲惨な過ち、いや、戦争自体を世界からなくすべく動くのが、
唯一の被爆国であり、たくさんの先人方を亡くした日本の責務であり、
それを忘れる事無きよう後世に語り継ぐ。
だから安らかにお眠りくださいという、決意にも似た言葉だと思っています。
投稿: もく | 2014.11.13 08:24