聾者と健聴者の夢のコラボプロレス『HERO』
HEROはHEROでもキムタク・ドラマではありませんよ(笑)。
本当にプロレスというのは奥深いですね。芸能界が変質してしまった現代社会において、唯一残されたアジールとも言えましょう。
アジールであるからこそ許されるモノがあります。そう、アジールとはコトから無縁化された場所であるからこそ聖域なのです。よって、当然のことながらそこは宗教性を帯びます。
世間の常識という「コト」から自由なプロレスは、その内的ジャンルの多様性においても、社会と言うよりも自然界に近いと言っていいでしょう。
まさにメジャーからインディーズ、学生プロレスに草プロレス、さらには障害者プロレスまで、そのスタイルも内容も本当にいろいろありますが、しかし、やっぱりプロレスはプロレス。まさに自然界の生態系を見るかのような様相ですね。
夏、たとえばメジャー団体新日本プロレスではG1という祭が行われていますし、その他、ZERO1の火祭り、DDTの両国国技館大会など、ある意味日本の伝統と微妙に重なる要素を持った興行が催されます。
そんな中、最近NHKの「ろうを生きる 難聴を生きる」という聴覚障害者番組で、「ろうプロレス」が紹介されていて、興味深く拝見しました。
その名も「HERO」。当然、「ロー」と「聾」をかけたネーミングでしょう。
番組では、まず63歳のろうレスラー「ヤミキ」が紹介されました。その内容はこちらでご確認ください。
いやあ、驚きました。ヤミキ選手63歳でレスラー4年目ですが、たしかに大変お元気、そしてしっかりプロレスラーしている。
と思ったら、なんと、新日本プロレスでミスター・ポーゴ(関川哲夫)さんやグラン浜田さんと同期だったんですね!
一度は諦めた夢を、還暦を迎える頃に見事に現実化していることに、非常に感激しました。これこそ、プロレスの世界でなければ成し得ないことでしょう。他のジャンル、特にスポーツの世界では絶対に無理ですよね。これぞアジールの醍醐味でしょう。
続いて、若手女子ろうレスラーの百太聾(ももたろう)選手が紹介されました。こちらもまた一度は諦めた夢に人生をかけていらっしゃいました。プロレスと結婚した!と堂々とおっしゃる目は、本当に輝いていました(放送内容はこちら。8月1日に再放送があります)。
以前、こちらで障害者プロレスを、またこちらで小人プロレスについて書きましたね。
もうほとんどそこに本質的なことは書いてありますから、どうぞ興味を持った方、特に疑問を持った方はお読み下さい。
NHKさんは比較的プロレスに優しい。時々プロレス関係の番組を放送しれますね。特に、メジャーではないマイナーな団体や人物を追いかけてくれます。おそらく、そこに「日本的なるモノ」を感じてくださっているからでしょう。ありがたいことです。
日本には、聴覚障害者プロレスの団体がほかにもいくつかあるようです。私はまだ実際に生で試合を観たことがありません。いつか近いうちに会場に出かけて行きたいと思っています。
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