第9回 富士山の森 ジャズフェスタ
我が富士学苑中学・高等学校が主催する「富士山の森 ジャズフェスタ」が富士吉田市のふじさんホールで盛大に開催されました。
昨年は国文祭という一大イベントがあったためお休みだったので、2年ぶりの開催です。
今年も関東を代表する学生ビッグバンドの皆さんが集結し、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
参加学校は、山中湖中学校、笹下中学校、日本大学、慶應義塾大学、明治大学、法政大学、早稲田大学、そして富士学苑中学・高校。
講師として、いつもお世話になっております作・編曲家の内堀勝さん、とサックスプレイヤーの岡崎正典さんをお迎えしました。そして、ぜいたくなゲスト、内堀さん率いるスーパージャズ軍団「MASARU UCHIBORI BIG BAND」の演奏も聴くことができるということで、非常に楽しみにしておりました。
前回(一昨年)までは、けっこう私も辛口の批評をしてきましたけれども(こちらからいろいろ読んでみてください)、今日はもうそれは当たり前のこととして割り切り(肯定的に受け取り)、それぞれの世代のジャズを楽しませていただきました。
それでも、やっぱり一言(笑)…というのは、正直、内堀さんのバンドが素晴らしすぎたからです。アマとプロの差は大きいな、あまりにも高い壁だなと感じたのです。
まあプロとしてはあのクオリティーは当たり前と言えば当たり前でしょうけれども、やはり、その「差」はなんなのか考えることも、学生たちには非常に重要だと思うのです。
私のようなシロウト演奏家が偉そうに言えることではないでしょう。けれども、ジャンルは違えどプロの方々との共演回数だけは多い私に、そう、ちょうどアマとプロの間でウロウロしている(これからもずっとそうでしょう)人間として語らせていただきたい。
たとえば私がヴィオラという内声部担当でステージに上がる時、どういう心構えというかどういう境地でいるかと言えば、もちろん音符を正確に弾くということだけではなく、その音符の並びが楽曲全体(響き)の中でどういう意味があるのか、どういう働きがあるのかを考える、いや感じるようにしているわけですね。
比喩的に言えば、どういう単語が並んでいて、どういう意味の文が並んでいるかを意識するということです。その結果として、楽譜に表記されていないディナーミクやアーティキュレーションが決まってくる。理屈ではなく。
アンサンブルとは、そういうそれぞれの「言葉」や「文」の表出が有機的に結びつき(融け合ったり衝突したりして)全体の物語が生まれることだと思うのです。
だから、中3でベース担当の娘にはよく言うのです。「指が回って正確にリズムを刻んでも、それじゃあコンピューターと同じ」「少なくもその音がどこに向かっているかだけでも意識しろ」「どこで意味が切れているか考えろ」と。
あとは歌心です。今日も内堀さんが講評の中で何度もおっしゃっていました。フォルテシモでもピアニシモでも、その中でちゃんと歌いなさいと。
言葉を歌にする意識があれば、たとえばヴィブラートというものはいつも同じではあり得ません。ちょっとうまくなって自分の美音に酔っていると、ヴィブラートは単調になります(クラシックでもそうだし、歌謡曲でもそう)。
それから、やはりジャズと言えばアドリブが命。学生はまだまだ譜面をなぞるのが精一杯(つまり基礎練習中)という方がほとんどでしょうけれども、やっぱりそれでは生きた音楽にはなりません。
これもまたかなりジャンル違いですが、この前人間国宝の大鼓奏者の方や琵琶の方、そして舞の方とアドリブ奉納をした時というのは、自分でも驚くほど異常に「空気を読む」アンテナが活性化していました。
そんな意味(つまりアドリブ)も含めて、内堀さんのバンドがほとんどリハなしでもあれだけのアンサンブルができていたのは、「LIVE」な音楽を生み出す技術と経験があるからでしょう。特に経験。そしてもちろん持って生まれた感性。
というわけで、偉そうなことを一言どころかダラダラと書いてしまいましたが、とにかく学生たちにぜひやってもらいたいのは、基礎練習と同じくらいの比喩化です。音の並び、あるいは沈黙を言葉にたとえたり、風景にたとえたり、匂いにたとえたり、そういう作業をして、イメージをみんなで共有しつつ、自分がその物語の中でどういう役柄をこなしていくのかということを考えてほしい。
そうすると、まず自分たちがもっともっと楽しくなり、それがお客さんにも伝わって、素晴らしい場が生まれると思います。
第10回、期待しています。
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