DDTプロレスリング『KING OF DDT 2014 後楽園ホール大会』
実際には29日に行われた興行でありますが、当日は別のイベントもあったので、変則的に28日づけの記事に書かせていただきます。
久しぶりにDDTの興行を観戦いたしました。
実は日曜日の朝、前日の向嶽寺での座禅研修明けの上に、続いて文化部発表行事があったりしたせいで、非常に体がダルく微熱もあったのですが、いろいろ事情がありまして、早朝から東京に行かねばなりませんでした。
そして夜に控えるフジファブリックのライヴまでの間、どのようにして過ごそうかと熟慮した結果、ゆっくり3時間くらい椅子に座って体と心を休めようという結論に至り、それで後楽園ホールへ向かったのであります。
休息のためにプロレス観戦なんていう過激なものを選ぶとは…と呆れられそうですね。それが実はそうではないんですよ(笑)。
DDTはこちらに書いたように「文化系プロレス」。もちろんかなりハードな試合もありますが、それらも含めていわば「安心して観ていられる」内容なのです。
そう、極上のエンターテインメントであり、私にとってはかなり高度な「神事」「祭」と感じられます。
今日も後楽園ホールは超満員。そして第2試合ではすでに会場の盛り上がりは最高潮。まるで昭和プロレス黄金期のような雰囲気でした(もちろん内容は当時とは全く違いますが、エネルギー量としては匹敵していました)。
私は自由席の当日券を買い、あえて一番後方の席からゆるりと観戦。後楽園ホールは最後尾席でも充分に迫力ある距離感で観戦できますからね。
カード、結果については公式ページに譲るとしまして、まあ、本当に変化にとび、またドラマ性にとんだ素晴らしい興行であったと思います。満足度97%という感じでしょうかね。
もちろん、プロレスを、特にこういうタイプのプロレスを「茶番」「八百長」などと評する方がいるのも分かりますし、自分の趣味を人様に押し付けるつもりはありません。しかし、日本古来の「荒魂を祀る」という文化、あるいは「大人がバカになりきる」ことができるという場として、こういう世界がしっかり今の日本に息づいていることに、私は純粋に感動を覚えます。
皆さん、選手も観客も、非日常の中で「バカになりきる」場が、この世の中のどこにどれだけあるでしょうか。今や、会社も学校も規則や常識でがんじがらめ。お酒の席が激減していることもあって、特に大人の男がバカになるチャンスはありません。
いやあ、この前、諏訪大社の御柱祭のご神事に参加させていただいて真剣に思ったんですよね。ああ、これは縄文時代以来の大馬鹿だ!って。
もちろん褒め言葉です。祭で死ぬんですよ。柱の下敷きになったり、柱の上から落ちて死ぬんです。現代的な論理からすれば、本当の「バカ」です。
しかし、それが4千年も続いている。これは理屈ではないのです。論理性もないし、もちろん損得勘定なんかない。
プロレスでもリング上で死んだりするんです。そこまで命がけで「バカ」をするのです。実はそれこそが最高の神事であり、祭事であるのです。
命を懸けるということは、近代的価値観の中で最も大切で、地球よりも重いと言われる命を無駄にする覚悟があるということです。
これは、昨日の老師のお話ではありませんが、究極の「無我」、「利他」の境地です。
今のプロレスもお祭りも(すなわちヤクザ稼業も)、それほどお金になりません。昭和の時代とは違います。しかし、そこに命を懸ける人たちがまだいる。それは感動に値します。
今日の大会の一体感は、まさに祭のそれでありました。素晴らしいと思います。
さらに言えば、DDTはちゃんと経営的にもうまくやっている。現代企業としてもしっかり機能しているし、成長している。
今日も新日本の棚橋選手や大物鈴木みのる選手をリングに上げていました。今や、メジャー団体さえも一目置き、いや対等のビジネスパートナーとみなすほどに、DDTは進化しました。
もちろん企業努力もあるでしょう。しかし、ある意味それ以上にしっかり働いている力というのは、実は「祭にかける心意気」なのです。それは、アイデアであったり、気合であったり、遊び心であったり、いろいろな形で現れています。そして、それらは、現代の企業や学校に欠けているものそのものなのです。
私は趣味で観戦しているのと同時に、DDTを大真面目な日本宗教史(特に神道史)の継承者としても見ているし、またビジネスの師としても見ているのでした。
ひとまとめに言えば、やっぱり「学園祭のノリ」っていうやつですかね(笑)。
DDT…これからも応援しつつ、勉強させていただこうと思っています。
おっと最後に、木高イサミ選手、おめでとう!あなたも素晴らしい大馬鹿者です!
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