『王仁三郎の言霊論理力』 出口汪 (ヒカルランド)
昨日は明治天皇の玄孫のお話でしたが、今日は、その明治天皇と因縁浅からぬ出口王仁三郎の曾孫のお話です。
そう、現代文、論理の神様と呼ばれる出口汪さんは、実は出口王仁三郎の曾孫です。その汪さんが、初めて王仁三郎についての本をお書きになりました。
素晴らしい本です。一般の方にとってこの上ない入門書となることでしょう。それとともに、私たち王仁三郎ファンにとっても新たな発見がある内容となっています。
宗教、オカルト、逆賊、怪しい予言者という言葉をまとってしまうからでしょうか、なんとなく一般社会から敬遠されがちだった王仁三郎。
しかし、そうした世界観とは全く逆と言っていい「論理」の世界において、圧倒的な実績と人気を誇る汪さんが王仁三郎を書いたとなると、そのプラスの影響は計り知れませんね。
「言霊論理力」…このタイトルこそ王仁三郎の思想を象徴しているとも思えます。「言霊」という言葉と「論理」という言葉が、こうして統合され同時に使われたのは今回が初めてでしょう。
「不二」・「帰一」の思想、「対立するものを統合する」という考え方を、あらゆるレトリックで表現したのが王仁三郎です。
彼にかかると、右翼も左翼も、南朝も北朝も、共産主義(東)も資本主義(西)も、過去も未来も、善も悪も、男も女も、経糸も緯糸も、全てがいとも簡単に統合されていきます。
それが、特に近代的な二元論的発想に毒された私たちにとっては、ある意味「論理的」ではないと感じられていたわけですね。
しかし、こうして汪さんの本を読んでみると、とうとう世界が王仁三郎の次元に追いついてきた、つまり、二元論的、二項対立的な世界観が終わりを告げつつあるのだなと感じます。
汪さんはこの本の中で、次のように語っています。
…これまで王仁三郎についていわれてきたことにとらわれず、自分の目で見て、自分の頭で考えて、王仁三郎がどんな人だったのかを捉え直そうとしてます。そうすれば、いろいろな王仁三郎の姿が見えてくると思うからです。
そうやって、冷静に、論理的に見ていかないと、また神格化されたおかしな王仁三郎像が出てきてしまうのではないか。そのことを恐れるのです。
そのためにも、やはり仮説を立てながら、論理的に考えていくというのが正しいものの捉え方だと思っています…
そう、論理的に見るということは、自分の頭で考えるということです。私たちは、特に敵対するものに対しては、しっかり考えることなく、感情的、感覚的に拒否反応を示しがちです。
我が校の教材ともなっている「論理エンジン」で、汪さんが力説している「他者意識」とは、究極的には敵さえも包み込みながら自分との統合を成し遂げ、より高い次元に新たな生命(価値)を生み出す原動力となるものだと思います。
この本を書くまでに汪さんは、ご自身の中に大きな葛藤を抱いておられました。それこそ統合の産みの苦しみを味わったことと思います。
ご自身もおっしゃっているように、過去においては、ある意味王仁三郎という怪物から逃げるために「論理」という武器を手に入れようとしたわけですからね。
思えば、私と汪さんとの「国語」での出会いは四半世紀も前のこと。そして、実際にお会いしたのは、5年前の5月、この日でした。
その後も何度かお会いして、王仁三郎についてお話をする機会がありましたが、そのたびにご自身の中で、なかなか王仁三郎を消化しきれず苦悩しているお姿を拝見していきました。
私はそのたびに「霊界物語の日本語は論理的だ」「王仁三郎の日本語は正しく美しく豊かだ」とお伝えしてきました。今思えば、私の発言は私の勘に基づくもので、決して論理的であったわけではありません。
しかし、こうして汪さんがしっかりご自身の中での矛盾を統合されたのを見て、私の勘も間違ってはいなかったかなと、少し安心したりもしています。
皆さんもぜひご一読ください。次元上昇という言葉がファッションのように使われている昨今ですが、この本の中には本物の次元上昇へのヒントが満ちております。
そうそう、論理と王仁魂の統合ということで言うと、私にとってはこの日が象徴的でした。偶然は必然なのですね。
Amazon 王仁三郎の言霊論理力
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『禅語を生きる』 山川宗玄 (春秋社)(2023.03.01)
- 仲小路彰 『昭和史の批判史』より「二・二六事件の本質」(後半)(2023.02.28)
- 仲小路彰 『昭和史の批判史』より「二・二六事件の本質」(前半)(2023.02.27)
- 仲小路彰 『昭和史の批判史』より「二・二六事件」(2023.02.26)
- 臨時特別号「日刊ニャンダイ2023」(2023.02.22)
「教育」カテゴリの記事
- 「温故知新」再び(2023.03.16)
- 『禅語を生きる』 山川宗玄 (春秋社)(2023.03.01)
- 「や〜だ」はどこから来るのか(2023.02.24)
- 追悼 松本零士さん(2023.02.20)
- AGIが世界を変える(2023.02.15)
「文学・言語」カテゴリの記事
- 「温故知新」再び(2023.03.16)
- ハジ→ 『来年の夏。』(2023.03.13)
- 『禅語を生きる』 山川宗玄 (春秋社)(2023.03.01)
- 「や〜だ」はどこから来るのか(2023.02.24)
- ヤマグチ社(2023.02.19)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 上野公園にて花見(2023.03.20)
- 善光寺にてお数珠頂戴〜阿弥陀様降臨(2023.03.19)
- 尾山神社とニギハヤヒ(2023.03.18)
- 「温故知新」再び(2023.03.16)
- 『RRR』再び!(2023.03.14)
コメント
この本、1〜2週間前に購入して拝読しました。非常に読みやすくわかりやすく、一気に読んでしまいました。
その前に林真理子の『白蓮れんれん』を読んでいたのですが、今放送されている某朝ドラに登場する蓮子さまこと某伯爵家の令嬢さんも、出口さんと接点があったのですね。驚きました。
投稿: A.I | 2014.06.20 16:49
A.I さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
白蓮事件ですね。
王仁三郎が関わったことによって、さらにスキャンダル性が高まったのでしょう。
今、王仁三郎の人脈を中心としたムックを企画しているのですが、まあ、どこまでも広がっていって恐ろしいほどです。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2014.06.20 20:52