『カメダ式J-POP評論 ヒットの理由』 亀田誠治 (オリコン・エンタテインメント)
高校生の授業でやっている「1日1曲J-POP」がなかなか楽しい。
生徒一人ひとりが選んだおススメ曲を、歌詞をじっくり読みながら聴くというコーナーなのですが、当然のことながら普段聴かないようなジャンル、アーティストを聴くことになり、それがとても勉強になっております。いろいろ発見あり。
ちょっと前には、世界の終わりの「天使と悪魔」を取り上げました。その生徒は「セカオワがいい。でも曲は先生が選んで」ということだったので、あえての「天使と悪魔」をチョイス。この歌詞は面白いですよね。まあいかにも中二病かなと思わせておいて、最後の二行で一気に文学の領域に持って行ってしまうパワーがすごい。
たとえばこの曲もこの本で紹介、分析されています。亀田さんは歌詞についてはそれほど深く掘り下げていませんが、さすが名プロデューサーですし、優れたベーシストですよね、先輩プロミュージシャンから見た彼らの魅力を上手に表現しています。
ほかにも、フジファブリックの「TEENAGER」を紹介したところなどにもついつい注目してしまいます。なるほど「鍵盤的コード感とギター的コード感」か。そのとおりですな。
全部読んだわけではないのですが、とにかく亀田さんの愛情を感じる文章たちです。すなわち彼のお人柄がよく分かる。謙虚だし、勉強熱心だし、とにかく優しいし。
実は、亀田さんとは一度挨拶を交わしたことがあるんです。それは…志村正彦くんのお通夜のことでした。本当にたまたまのタイミングで一緒に焼香させていただくことになりました。
ある意味、志村くんが作ってくれたご縁ということにもなります。
亀田さんは格別志村くんのことを評価していましたし、可愛がっていました。お通夜、告別式には、本当にたくさんの偉大なアーティストたちがいらしていましたが、亀田さんも忙しい中、東京から車を飛ばしてきたという感じでした。
この本のコラムを書いた時には、もちろん志村くんが亡くなるなんて夢にも思っていなかったでしょう。
「ひとりでも多くの人を幸せにすること。それがヒットの本懐」
箭内道彦さんがこの本の帯に寄せた言葉です。志村くんが志半ばで亡くなってしまったのは残念ですが、彼の残した言葉と音楽たちはこれからも多くの人たちを幸せにしてくれることでしょう。
さてさて、この本、これから授業に役立ちそうですね。生徒たちって少し古い音楽を選んでくることが多いので。
とりあえず現時点では、第1章「亀田誠治10年史」が勉強になりました。クインシー・ジョーンズは偉大ですよね。
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